働かせない介護が高齢者を弱らせる?就労を止めた結果の損失とは

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民間の障害者雇用、

25年は最多の70万人超 

義務対象が増加

2025/12/19 14:10

日経速報ニュース

民間の障害者雇用、25年は最多の70万人超 義務対象が増加 - 日本経済新聞
厚生労働省は19日、2025年に民間企業で雇用される障害者の人数が70万4610人になったと発表した。統計を取り始めた1977年以降で最も多い。人手不足による採用進展や、一部の業種で雇用が義務となる障害者数が増えたことが後押しした。厚労省は...

【この記事の内容】

知らないと危険!高齢×障がい者が働けない介護の落とし穴とは?

はじめに

介護分野にある「その人らしさを支える」という考え方

介護の現場では、「できなくなったことを補う」よりも、「まだできることを活かし続ける」ことが重視されています。

これは自立支援と呼ばれ、高齢者が役割や生きがいを持ち続けながら生活することを目的とした考え方です。

この自立支援の視点を、障がいのある高齢者の就労継続に当てはめてみると、「働くこと」は単なる収入手段ではありません。

むしろ、生活機能を維持し、社会とつながり、尊厳を保つための重要な行為だと捉えることができます。

少子高齢化や人手不足、制度改正といった社会の変化は一見すると抽象的ですが、現場レベルで見ると明確な変化が起きています。

それは、高齢者が「支えられる側」から「誰かを支える側」に回る場面が増えているという事実です。

これは、ビジネスに例えるなら「コストとして扱われていた存在が、価値を生む人材として再評価されている」状態に近いと言えるでしょう。

高齢者の障がい雇用の現状

民間企業における障がい者雇用の広がり現在、障がい者雇用は数の上では確実に拡大しています。

民間企業で働く障がい者は約70万人規模に達し、特に精神障がいのある人の雇用が増えています。

一方で、法定雇用率は約2.5%とされているものの、実際に達成している企業は半数弱にとどまっています。

この背景には、「制度上、雇用しなければならない」という外からの圧力と、「人手不足の中で多様な人材が必要」という現場の切実な事情があります。

高齢×障がいが生む二重のハードル

高齢期に障がいを抱えた人の多くは、定年後に病気や事故をきっかけとして働く場を失っています。

身体機能や認知機能の低下により一般雇用から離脱し、「もう自分は役に立てないのではないか」という思いを強めてしまうケースも少なくありません。

介護現場では、「家族や社会に迷惑をかける存在になってしまった」と語る高齢者の声を耳にすることがあります。

数字には表れにくいものの、こうした心理的な喪失感は、生活意欲や健康状態にも大きな影響を与えています。

就労継続が高齢者にもたらす価値

働くことは「リハビリ以上の介護予防」

結論から言えば、働くことは非常に効果的な介護予防です。

なぜなら、就労は身体面・認知面・心理面・社会面のすべてに同時に働きかけるからです。

仕事に伴う移動や作業は自然な運動となり、業務手順や人とのやり取りは認知機能への刺激になります。

また、「自分の役割がある」という実感は自己肯定感を高め、職場や地域との関わりは孤立を防ぎます。

介護福祉の現場感覚としても、週に数日でも働いている高齢者は、要介護度が進みにくいという実感があります。

これは、働くことが生活全体のリズムを整えるからだと考えられます。

視点別に考える課題と対応策

介護者の視点

就労と通院、リハビリをどう両立させるかは大きな課題です。

また、企業側との情報共有が不足すると、無理のある働き方になりがちです。

そのため、ケアプランの中に「就労」を位置づけ、就労支援員や企業と定期的に連携することが重要です。

高齢者本人の視点

本人は「迷惑をかけるのではないか」「続けられる自信がない」と不安を抱えています。

そこで、短時間や軽作業から始め、成果よりも「続けていること」を評価する関わりが求められます。

家族の視点

家族は「無理をさせたくない」という思いから、就労に消極的になりがちです。

就労内容を丁寧に説明し、見学の機会を設けることで、安心感を持ってもらうことができます。

地域の視点

地域には、高齢障がい者が働ける場や受け入れノウハウが不足しています。

介護事業所、中小企業、自治体が連携し、清掃や軽作業、見守りといった地域内の役割づくりを進めることが求められます。

介護福祉の現場で起きている変化

介護福祉領域では、デイサービス利用者が就労継続支援B型へ移行したり、介護施設内で洗濯や清掃といった軽作業を担ったりする事例が増えています。

ケアマネジャーが就労を前提にアセスメントを行うケースも珍しくありません。

これらを一言で表すなら、「介護=支援」から「介護=社会参加の再設計」への転換だと言えるでしょう。

まとめ

介護者として持つべき視点

高齢者の障がい雇用や就労継続は、特別な取り組みではなく、介護の延長線上にある重要な支援です。

制度という外圧を本人の尊厳回復につなげ、就労を「負担」ではなく「介護予防の資源」として捉える。

そして、介護者自身が「働くという選択肢」を提示できる存在になることが求められています。

私たち介護者に今必要なのは、「守る介護」から「活かす介護」へと視点を切り替えることなのではないでしょうか。

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