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介護食多様に、満足度も高く
配食・レトルトに料理教室も
2025/06/07 02:00
日経速報ニュース

【この記事の内容】
『介護食市場が1,400億円に拡大…でも“選び方を間違える”人が急増中!親が食べなくなった理由…介護食で見落としがちな落とし穴』
はじめに
食事は人生の最後に残る楽しみ
年を重ねると、身体の自由や人との交流が減っていきますが、食べることだけは最後まで残る自己表現のひとつです。
だからこそ、介護食には「栄養を補う」以上の役割が求められます。
それは、「生きる喜びを支える手段」としての役割です。
こうした考え方が広がる中で、介護食は「決まったものを食べる」時代から、「自分に合ったものを選ぶ」時代へと変わりつつあります。
食の選択肢が広がる理由
介護食の進化が、要介護者とその家族双方にゆとりと満足感をもたらしています。
背景には、以下の3つの変化があります。
・介護食の種類が増え、品質も向上している
・配食やレトルトなど手軽に使えるサービスが普及している
・手作り介護食を学べる料理教室が広がっている
これらは、介護者の負担を減らすだけでなく、高齢者の「食べる楽しみ」を大切にする取り組みでもあります。

介護食市場の成長と多様性
介護食の市場は、2024年に約1,200億円、2030年には1,400億円超に拡大する見通しです。
中でも注目されているのが「ユニバーサルデザインフード(UDF)」です。
UDFとは、かむ力や飲み込む力に応じて食品が分類され、誰でも自分に合った商品を選びやすくする工夫です。
分類は次の通りです。
・容易にかめる
・歯ぐきでつぶせる
・舌でつぶせる
・かまなくてよい
この仕組みにより、高齢者本人も介護者も、安心して食事を選べるようになっています。
介護の現場から見る具体的な事例
配食サービスの活用
東京都に住む92歳の女性は、弁当型の「やわらか食」を毎日利用しています。
配食サービスにより、家庭で調理する手間が省けるため、息子は農業と介護を両立しながら働き続けられています。
このように、配食は「家族の時間と働く環境を守るインフラ」となりつつあります。
レトルト介護食の利便性
レトルト商品も種類が豊富で、スーパーや通販で簡単に購入可能です。
温めるだけで食べられるため、忙しい介護者にも適しており、味や見た目の工夫も進んでいます。
手作りにこだわる料理教室
兵庫県の「EatCareクリエイト」は、在宅介護者が自宅で介護食を手作りできるように指導しています。
言語聴覚士の川端さんが運営するこの教室では、ミキサーの使い方や食材の切り方など、実践的な知識を学べます。
全国から参加者が集まっており、「親の好きだった味をもう一度作ってあげたい」という想いが多くの人を動かしています。

家族・地域・社会に求められる視点
介護者視点
ビジネスケアラー(働きながら介護する人)が増えています。
経済産業省によれば、2020年時点で262万人、2030年には318万人に達する見込みです。
配食やレトルト介護食は、仕事と介護の両立を支える重要なツールになっています。
家族視点
高齢者の味覚や食の好みを理解し、実際に調理できるスキルが家族にも求められます。
「何をどう作れば良いのかわからない」という声に応えるため、情報提供や料理教室の充実が必要です。
地域視点
介護食を中心に、地域内での助け合いが生まれています。
料理教室や配食サービスを地域資源として活用し、高齢者と家族が孤立しない仕組みづくりが進められています。
高齢者の「食べたい」に応える価値
人生の最後に「自分の好きだった味をもう一度食べたい」と望む高齢者は少なくありません。
味覚は記憶と密接に結びついており、食事は単なる栄養ではなく、心を支えるものです。
そのため、介護食が「おいしさ」や「見た目」「香り」にまで配慮されることで、高齢者の尊厳や意欲が守られます。
現場で起きている変化
・調理支援のニーズ増加
・介護と仕事を両立する制度の強化
・多機能な配食サービスの広がり
・地域密着型の介護食流通の確立
・家庭内の孤独感を和らげるサポート活動の拡充

おわりに
介護食は支え合いの象徴へ
介護食の充実は、「食の問題」にとどまりません。
これは、
・高齢者の尊厳を守ること
・介護者の生活を支えること
・地域全体が協力する仕組みを育てることを意味します。
選べる介護食、楽しめる介護食があることで、介護の現場が「辛い」から「温かい」場所へと変わりつつあります。



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