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高齢単身世帯が招く人手不足
生活サービスを誰が担う
2025/06/11 23:02
日経速報ニュース

【この記事の内容】
『介護スタッフが足りない!現場が悲鳴を上げる単身高齢者の現実!』
はじめに
介護福祉の現場で、「一人暮らしの高齢者は、乗組員が一人しかいない大型船のようだ」と考えることがあります。
大きな船を運航するには、操縦、点検、燃料補給、緊急時の対応など、複数人の手が必要です。
しかし、もしその船に一人しか乗っていなければ、船の維持そのものが難しくなってしまいます。
今、日本にはそんな「一人きりの船」が増え続けています。
それが高齢単身世帯の実態です。
誰がその船を外から支えるのか。
この問題を、介護者、高齢者、家族、地域という4つの視点から考えていきます。
結論
高齢単身世帯の増加が人手不足を悪化させている
・一人暮らしの高齢者が急増することで、生活支援のニーズも同時に膨らんでいます。
・訪問介護や配食、設備点検など、生活を維持するためのサービスが個別対応になり、効率が落ちています。
・対応には、地域や職種ごとの人材戦略が求められています。
背景
なぜ一人暮らしの高齢者が増えているのか?
「一人老後」が当たり前になる時代へ1998年に比べて2023年の平均世帯人数は2.81人から2.23人へと減少しました。
この背景には、以下のような社会の変化があります。
・子どもと同居しない核家族の増加により、配偶者が亡くなると一人暮らしになるケースが増えました。
・長寿化によって、配偶者に先立たれた後の「長い独居生活」が珍しくなくなっています。
・離婚率の上昇も、単身高齢者の増加に拍車をかけています。
2023年時点で、65歳以上の高齢者世帯のうち単身世帯は51.6%を占めており、すでに高齢者の半数が「一人の老後」を送っているのです。

高齢単身世帯が増えると何が起きるのか?
高齢者が一人で生活するということは、それだけ「外からの支援」が必要になることを意味します。
以下のような現場の変化が起きています。
訪問介護
対応件数が倍増し、効率が低下
・二人暮らしなら一度の訪問で二人のケアができますが、単身高齢者にはそれぞれ訪問が必要です。
・同じ人数をケアするのに、必要な訪問回数は2倍、移動時間や人件費も増加します。
生活支援全般
家族の代わりを外部サービスが担う
・一人暮らしの高齢者は、家事、買い物、安否確認といった日常生活のあらゆる部分を外部に頼らざるを得ません。
例えば
・食事を届ける宅配サービスは毎日必要です。
・ゴミ出しや掃除も自力でできないケースが増えます。
・一人で倒れても気づかれないことがあるため、見守りサービスも不可欠になります。
特に認知症や体力低下が進んだ高齢者にとって、これらの支援は「生きるために必要な基本機能」と言っても過言ではありません。

それぞれの立場から見た課題と対応策
介護者の視点
支える人が足りない、現場が疲弊介護の現場では、次のような課題が顕在化しています。
・介護人材が慢性的に不足している
・賃金が低く、他業種へ人材が流出している
・都市と地方で人材供給の格差が拡大している
解決策
・報酬制度の見直し
・業務の一部をICTやロボットに代替
・地域に根ざした小規模多機能型の介護サービスの推進
高齢者の視点
「誰にも頼れない」という孤立感
高齢者は「子どもに迷惑をかけたくない」「自分のことは自分で」と考える一方で、現実には以下のような問題に直面しています。
・足腰が弱って買い物に行けず、日常生活に支障をきたす
・急病の際、助けを呼ぶ手段がなくなる
・孤独死のリスクが高まる
対応策
・地域包括ケアシステムによる日常的な見守り
・IT機器(スマートスピーカーなど)を活用した緊急時対応支援
家族の視点
「見えない介護」のストレス離れて暮らす家族は、以下のような問題を抱えています。
・頻繁に会いに行けず、責任感だけがのしかかる
・自分の生活と介護の両立が難しくなる
・結果として、精神的・時間的なシャドーワーク(無償労働)が増える
対応策
・テレワークや介護休業制度の拡充
・地域支援サービスとの分担意識を育てる
地域の視点
サービスの偏りと人材流出
・一部地域では、高付加価値産業の進出により、介護業界から若者が流出する傾向があります。
たとえば、熊本県では半導体工場に人材が集中し、訪問介護の担い手が足りないという事例もあります。
対応策
・地域ごとの人材需給の見える化
・必要なスキルに応じた職業訓練の実施
・地方自治体による人材再配置と雇用マッチングの推進

まとめ
これからの介護は「構造の改革」が不可欠
・少子高齢化という波の中で、高齢単身世帯の増加は避けられない現実です。
しかし、本当に危機なのは「支援する側の仕組み」が時代に合っていないことです。
これからの支援は、「一人ひとりを点で見る」のではなく、「地域全体を面で支える」考え方へと転換する必要があります。
私たち介護者は、この変化を受け止め、新しい時代にふさわしい“乗組員の配置”を再構築していかねばなりません。



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