「制度はあるのに誰も使えない…」ケア就業者1285万人の“沈黙”という現実

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育児・介護中の就業者、

35年に1285万人 

支える社員には不満も

2025/07/10 12:45

日経速報ニュース

育児・介護中の就業者、35年に1285万人 支える社員には不満も - 日本経済新聞
パーソル総合研究所は10日、働きながら家族の介護や育児をする「ケア就業者」が2035年に22年比10%増の1285万人になるとの推計を発表した。ケア就業者の仕事をフォローする周囲の社員の中には不満や不公平感を抱いている人が一定数いることも調...

【この記事の内容】

もう限界…制度を遠慮するケア就業者の4割が抱える“申し訳なさ”の正体とは?

はじめに

近年、育児や介護を担いながら働く「ケア就業者」が増えています。

2035年にはその数が1285万人に達すると予測されています。

一方で、こうした人々の業務を肩代わりしている周囲の社員には、不満や不公平感が広がっています。

制度として支援の仕組みがあるにもかかわらず、それがうまく機能していない現実が浮かび上がっています。

増え続けるケア就業者とその背景

晩婚化や高齢化、共働き世帯の増加といった社会構造の変化により、今後ますます多くの人が「働きながらケアする立場」になることが見込まれています。

特に以下のような傾向が顕著です。

・育児をしながら働く人は微増だが安定的に増加

・介護をしながら働く人は20%以上増加

・育児と介護の両立をする人は34%も増加

これは、一部の人だけの課題ではなく、誰にとっても当事者になり得る普遍的な問題であることを意味しています。

ケア就業者の「使いづらい制度」と心理的な壁。

支援制度は存在していても、それを使うこと自体に気後れしてしまうケースが多く見られます。

・「制度を使えば、周囲に迷惑がかかる」という遠慮

・「申し訳ない」と思う精神的ストレス

・結果として制度を使わず、無理を重ねてしまう。

介護福祉の現場でも、子育て中の職員が急に早退するたびに、残された職員で業務を調整しなければならない事態が頻繁に発生します。

制度があるにも関わらず、実際には「空気を読むこと」が優先されてしまっているのです。

非ケア就業者の視点

不満と不公平の蓄積ケア就業者をサポートしている人たちからは、以下のような声が上がっています。

・月あたりの残業時間が平均5.6時間増加

・約4割が「不満を感じる」と回答

・約7割が「企業のサポートは不十分」と感じている。

本来、制度を使って働きやすくするはずが、その制度が周囲への負荷として跳ね返っている構造が問題です。

これは「誰かのため」が「誰かの犠牲」になっている状況であり、持続可能な働き方とは言えません。

課題と対策を4つの視点から考える

1. ケア就業者の視点

制度利用に対する後ろめたさ

課題

・制度を使うことで生じる周囲への負担と気まずさ

・長期的なキャリア形成の停滞

対策

・業務負荷を可視化してフェアに分担する仕組みづくり

・定期的な面談や1on1を通じて悩みや本音を共有できる環境の整備

2. 高齢者の視点

「自分が家族の足を引っ張っている」という思い

課題

・「介護が原因で子どもが働けない」と感じる罪悪感

・心理的なストレスから体調を崩すリスク

対策

・外部サービス(デイサービスや訪問介護)を活用し、負担を分散

・本人が社会と接点を持つ機会を増やし、自己肯定感を保つ

3. 家族の視点

育児・介護・仕事の三重苦

課題

・家族全体のリソース不足と衝突の増加

・精神的な限界に近づく家族も

対策

・タスクの役割分担を見直し、家庭外リソースも積極的に利用

・カウンセリングや家族向けのワークショップ導入で心の支援も

4. 地域・企業の視点

支援制度の偏りと調整の不在

課題

・非ケア就業者への支援が薄く、制度利用者とのギャップが拡大

・「制度を使う人が得をする」という逆転現象

対策

・支援対象を制度利用者だけでなく、そのフォロワーにも広げる

・外注や業務再編成など、仕事そのものの構造改革を図る

介護現場で見えてきた構造的問題

現場では以下のような問題が繰り返し起きています。

・子育て中の職員が急な呼び出しで離脱

→ 残業やシフト崩壊が常態化

・家庭での介護を担う職員が夜勤明けも休めない

→ 慢性的な疲弊・同僚間の不満が溜まり、チームの雰囲気が悪化 → 離職率上昇

これらの課題は、「人員不足」という表面的な問題ではなく、「支え合う仕組みの不在」が根本原因です。

結論:制度だけでなく、「人の理解」と「文化の再設計」が必要

ケア就業者が制度を使いやすくなるためには、「制度の整備」以上に「職場文化の改革」が鍵です。

遠慮なく助けを求められ、周囲も納得感をもって支えられる環境を作ることが、今後の働き方において不可欠です。

ビジネスにおけるアナロジーで言えば、「制度=道具」ではなく、「使いやすい環境=土壌」も整備しなければ成果は出ないのと同じです。

制度を設けるだけでは意味がなく、それを活かす風土が求められているのです。

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