「9割が自覚ナシ」女性の高リスク飲酒が招く“見えない崩壊”とは?

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高リスク飲酒の女性増 

仕事や家事・育児の多忙も背景に

2025/07/10 05:00

日経速報ニュース

高リスク飲酒の女性増 仕事や家事・育児の多忙も背景に - 日本経済新聞
健康を損なう量の飲酒をする女性が増えている。女性は一般的に男性に比べアルコール依存症になりやすいとされる。仕事や家事・育児で多忙な中、酒に依存してしまうケースも多いという。女性に特化した支援の重要性が高まっている。「逃げたい気持ちが酒を飲む...

【この記事の内容】

介護者が知らない「共通点」高齢者と母親の“崩れる瞬間”とは?

はじめに

介護の現場では、日々の小さなストレスが蓄積され、気づかないうちに心身へ深刻な影響を与える「サイレントストレス(静かな負担)」という現象があります。

これは本人も周囲も気づきにくいため、表面化したときにはすでに限界を超えていることもあります。

実は、この「見えにくいストレス」は、女性の高リスク飲酒という社会問題にも深く関係しています。

育児、家事、仕事という三重の負担に日々さらされている多くの女性たちが、そのストレスから逃れる手段として、アルコールに頼ってしまうケースが増えているのです。

これは、介護現場で無理を重ねた末に心身を壊してしまう人々と、構造的に非常によく似ています。

どちらも、「誰かの役に立ちたい」「頑張らなければ」という責任感の裏に、孤立や疲労が蓄積していく構造です。

若者の「酒離れ」の裏で増える、女性の高リスク飲酒

飲酒行動の二極化が進行している

近年、若者の間では健康志向の高まりや価値観の変化により、「酒離れ」が進んでいます。

その一方で、生活習慣病のリスクを高めるような量の飲酒をする中高年女性の割合は増加しています。

厚生労働省のデータによれば、1日あたりの平均純アルコール摂取量が20グラム以上の「高リスク飲酒」に該当する女性の割合は、2023年に9.5%。2012年から1.9ポイントも増加しました。

男性の割合(14.1%)と比べれば少ないですが、女性の増加率は目立ちます。

背景には、女性の社会進出や共働き家庭の増加によって、飲酒機会が増えたこと。

さらに、家庭内での役割負担が依然として女性に偏っている現実があり、ストレスのはけ口としてアルコールに依存しやすくなっていることが挙げられます。

なぜ女性の高リスク飲酒が増えているのか?

背景にある、複雑に絡み合ったストレス構造女性の高リスク飲酒を引き起こす要因は、多層的で以下のように分類できます。

1. 社会的な背景:働く女性が増えた一方で、家庭内の負担は減っていない。仕事と家庭の両立という二重労働状態が常態化している。

2. 家庭内の孤立:育児や家事を1人で抱え込み、感情を吐き出す場がない。

3. 心理的ストレス:子どもの不登校や進学の不安、夫婦間のトラブルなど、継続的で出口の見えない悩み。

4. 飲酒環境の変化:高アルコール度数の商品(ストロング系チューハイなど)の普及により、短時間で強く酔える環境が整ってしまっている。

つまり、現代女性は「疲れているのに休めない」「苦しいのに誰にも言えない」という状況にあり、その逃げ場としてアルコールが選ばれているのです。

介護者として考える4つの立場からの課題と対応

①介護者の視点

早期発見と「否認の病」への理解

アルコール依存症は「否認の病」とも呼ばれ、自分では問題を認めにくい特徴があります。

介護者としては、日々の観察を通じて「変化の兆候」を見逃さないことが求められます。

たとえば、急な体重減少、記憶の曖昧さ、行動の変化など。

重要なのは、批判ではなく「聞く姿勢」で関わることです。

②高齢者の視点

自己犠牲の文化が生む孤立

高齢女性は「人に頼らないことが美徳」という価値観を持っている人が多く、問題を隠そうとする傾向があります。

また、高齢者施設ではアルコールの摂取が見えにくいため、潜在的な依存リスクが見落とされがちです。

定期的な対話と精神的なケアが必要です。

③家族の視点

「寄り添う力」が共倒れを防ぐ

家族もまた「どう支援すればよいのかわからない」と悩みます。

無理にやめさせようとせず、まずは話を聴くこと。

そして、精神科や依存症支援団体とのつながりをつくる「橋渡し役」になることが重要です。

④地域の視点

語れる場と女性特化支援の必要性

女性が安心して自分の気持ちを話せる場がまだまだ不足しています。

男性主体の断酒会では語れない悩みも、女性限定のプログラムであれば共有しやすくなります。

地域包括支援センターなどと連携し、継続的な支援体制を築くことが求められます。

介護福祉の現場で起きていること

介護の現場でも、次のような問題が見られます。

・介護疲れがうつ症状に発展する

・サービス利用を拒否する人が増えている

・利用者・家族ともに孤立している

・誰にも相談できない状態が続く

これらはまさに、女性の高リスク飲酒と同じ構造です。

両者に共通しているのは、「孤立」と「否認」が問題を深刻化させている点。

介護者として、私たちの支援対象は高齢者だけではなく、こうした“見えない苦しみ”を抱えた女性たちにも広がっていると実感しています。

今、できることは何か?

行動するための5つの問い

1. 身近な女性に最近、変わった様子はないか?

2. 高リスク飲酒に関する正しい知識を持っているか?

3. 相手の話に耳を傾ける余裕があるか?

4. 支援の選択肢(専門機関や地域資源)を把握しているか?

5. 自分自身のストレス解消法は健全なものであるか?

結論:アルコールの裏にある「声なき声」に気づく力

飲酒という行動の背後には、「頑張りたい」「普通の母親でいたい」という切実な願いが隠れています。

それはまさに、介護の現場でも感じる“誰かの叫び”と共通するものです。

介護者として、地域の一員として、私たちにできるのは、その小さなSOSを見逃さずに気づき、寄り添い、支援につなげること。

酒をやめさせることが目的ではありません。

その背景にある苦しみを理解し、一緒に歩む姿勢こそが、回復への第一歩なのです。

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