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横浜市大、
地域での仲間づくりが10年以上
続くと介護リスクが
低下することを実証
2025/07/30 12:08
日経速報ニュース

【この記事の内容】
『10年後、ひとりで立てなくなる人の共通点とは?』
はじめに
社会とのつながりが「健康寿命」を延ばすという考え方
介護の世界では、「人とのつながりが健康を支える」という考え方が根づいています。
食事や運動といった身体的なケアと同じように、精神的なつながりや社会参加も、元気に長生きするために欠かせない要素です。
この考え方は、ビジネスで言えば「売上」だけでなく「人間関係や信頼」も企業の健全経営に不可欠だというのと似ています。
見えにくいけれど、じわじわと大きな力になるものです。
そんな中、横浜市立大学の研究は、地域での人とのつながりが長く続けば続くほど、介護が必要になるリスクが下がることを科学的に示しました。
10年以上続ける地域活動で、介護リスクが明確に下がる
●どんな研究だったのか?
横浜市立大学大学院の金子准教授らは、全国の65歳以上の高齢者2,054人を対象に、2018年から2022年までの4年間にわたる追跡調査を行いました。
その結果、地域の健康サロン「班会」に10年以上参加していた573人は、要支援や要介護になるリスクが、他の人に比べて平均で約2ポイントも低いことが分かりました。
●班会ってなに?
「班会(はんかい)」とは、地域の住民が主体となって行う少人数の集まりで、医療や介護の専門職がサポートに入ります。
体操や健康講座、おしゃべりの場などを通して、自然に人との交流が生まれる仕組みです。
このような場が、孤立や運動不足、気分の落ち込みといった高齢者のリスクを軽減しているのです。

介護者の立場から見た「10年継続」の価値
●なぜ介護の負担が軽くなるのか?
高齢者が地域活動を長く続けることで、以下のような効果が期待できます。
・心が安定し、不安や孤独感が減る
・身体を動かす習慣ができることで、フレイル(虚弱)を防ぐ
・健康意識が高まり、自主的に体調管理ができるようになる
●現場の声から
10年以上「班会」に通っている78歳のAさんは、いまだに買い物や散歩をひとりでこなし、介助は不要。
結果として、家族の介護負担もかなり軽くなっています。
高齢者の心の変化と、続けたくなる理由
●続けることで起こる心の変化
長く活動を続けると、心の中でこんな変化が起こります。
最初の頃:「人付き合いは面倒」「気疲れする」
数年後:「知った顔が増えて安心」「参加が習慣になる」
6年以上:「誰かを支えたい気持ち」「自分が必要とされている感覚」
10年以降:「ここが自分の居場所」「助け合いの意識が生まれる」
こうして、孤立から「共に生きる」感覚が育っていくのです。
家族の立場から見ると「安心できる時間」が得られる
●想定外の介護が一番こわい
介護が突然始まると、家族は生活や仕事に大きな影響を受けます。
しかし、地域で自立した暮らしを続けている親の姿を見ることで、「まだ大丈夫」という安心感が生まれます。
●実際の変化
介護現場の中には、「班会」に参加するようになってから、要支援の認定が取り消された人もいます。
結果的に、家族の介護準備に猶予が生まれ、共働き家庭のストレスも減りました。

地域にとっても「支えられる側」から「支える側」への変化が起きている
●地域が抱える3つの課題
・高齢者の孤立
・人手不足
・世代間のつながりの希薄さ
●地域の中で起こっている前向きな変化
地域の住民が自分たちで交流の場を作り、支え合う文化が広がっています。
これは行政の支援に頼る前の段階として、大きな価値があります。
例えば、商業施設の一角におしゃべりスペースが設けられたり、町内会の一環として「健康サロン」が運営されたりといった動きが広がっています。

まとめ
10年後の自分を変える「仲間」との時間
●何がわかったか?
高齢者が10年以上、地域の仲間とつながり続けると、介護が必要になる可能性が確実に下がることが、データで明らかになりました。
●なぜそれが重要なのか?
・心と体の健康が保たれる
・孤独を避けられる
・介護者や家族の負担が減る
・地域全体の助け合いが育つ
●これからの介護者に求められる視点
介護はもう、技術だけで成り立つ仕事ではありません。
「関係性を育てる力」や「つながりを設計する力」が必要とされる時代です。
支えることと、支え合うことを両立させる仕組みづくりが、これからの現場では鍵を握るでしょう。



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