このままでは家族が先に潰れる…75歳介護が抱える限界とは?

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「認知症の4割は予防できる」 

難聴などリスク、

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2026/01/12 09:00

日経速報ニュース

「認知症の4割は予防できる」 難聴などリスク、適切対応で患者大幅減 - 日本経済新聞
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【この記事の内容】

『支える側が壊れる前に…75歳以上介護を再設計すべき理由とは?』

はじめに

75歳以上の後期高齢者が急速に増える時代に入り、私たちはこれまで曖昧に先送りしてきた問いと正面から向き合う必要に迫られています。

それは、「高齢者をどのように支えるのか」「誰が、どこまで、どのような形で支えるのか」という問題です。

これまでの日本社会では、「高齢になれば支えられる側になる」という前提のもとで、医療・介護制度や家族の役割が設計されてきました。

しかし、人口構造の変化や働き方の多様化が進んだ現在、その前提そのものが現実と合わなくなりつつあります。

従来の延長線上にある支え方だけでは、制度も人も持ちこたえられない状況が見え始めています。

本記事では、介護の現場に立つ介護者の視点を軸に、高齢者本人、家族、地域、そして制度という複数の立場を行き来しながら、これからの社会に求められる「持続可能な高齢者の支え方」について、できるだけ具体的に考えていきます。

結論

75歳以上を一括りにせず、「支え方を分ける改革」が必要です

結論から言えば、75歳以上の人を一律に「支えられる存在」「要介護予備軍」とみなす考え方は、見直す段階に来ています。

これからの社会では、高齢者の状態や役割に応じて、支え方を段階的に分けていく改革が不可欠です。

その理由は大きく三つあります。

一つ目は、後期高齢者の人数が、当初の制度設計を超えるスピードで増え続けていることです。

二つ目は、健康状態や生活能力、経済状況の個人差が非常に大きくなっていることです。

三つ目は、介護人材と財源の両面で、これまでの仕組みが限界に近づいていることです。

今後は、「75歳以上だから同じ支援」ではなく、「誰を、どの段階で、どのように支えるのか」を前提から組み直す必要があります。

75歳以上の後期高齢者が直面している現実

75歳以上の後期高齢者は、すでに社会の中で無視できない規模の集団となっています。

人口規模で見ると、約2,100万人に達し、国民のおよそ6人に1人を占めています。

この人数は今後すぐに減るわけではなく、社会全体に占める割合はさらに高まっていく構造です。

この変化は、単に「高齢者が増えた」という数量の問題ではありません。

医療や介護のニーズが特定の年代に集中し、家族だけでは支えきれなくなり、地域全体の支援力が問われるという、複数の課題が同時に発生する構造的な問題です。

高齢者本人の心境とその背景

75歳以上の高齢者の多くは、日々の生活の中で複雑な気持ちを抱えています。

「まだ自分は動ける」

「できることは自分でやりたい」

「人の役に立ちたい」

という誇りがある一方で、「いつか迷惑をかけるのではないか」という不安も常につきまとっています。

近年の高齢者は、健康寿命が延び、スマートフォンやデジタル機器を使いこなす人も増えています。社会とのつながりを持ち続けたいと考える人も少なくありません。

それにもかかわらず、年齢だけを理由に「支えられる側」に固定されることで、本来持っている意欲や能力が発揮されない場面が増えています。

介護者視点

現場ではすでに変化が起きています

介護の現場では、すでに変化がはっきりと現れています。

比較的元気で自立した生活が可能な高齢者と、医療的ケアが欠かせない高齢者との二極化が進み、家族の介護負担が早い段階から重くのしかかるケースも増えています。

夜間や緊急時の対応負担も年々大きくなっています。

介護者として強く感じるのは、本来は自立できる人までが、人手不足や制度の都合によって「介護に委ねられてしまう」構造が生まれていることです。

これは現場の努力や善意だけでは解決できず、仕組みそのものを見直さなければ改善しません。

家族視点

支えたい気持ちと現実の狭間で

家族介護を担う人たちは、「できる限り親を支えたい」という思いと、現実的な制約の間で常に揺れ動いています。

仕事との両立が難しく、介護の知識も十分とは言えず、費用や将来の見通しも分かりにくい。

その結果、「自分はどこまでやるべきなのか分からない」という不安を抱え続けることになります。

さらに、75歳以上の親を支える世代自身も、50代から60代に差しかかり、体力や経済的余力が低下し始めています。

家族だけに負担を押し付けるモデルは、すでに限界に近づいています。

地域視点

これからは「点」ではなく「面」で支える

地域包括ケアとは、住み慣れた地域で医療や介護、生活支援を受けられる仕組みを指します。

しかし現実には、担い手不足や地域住民の高齢化が進み、善意やボランティアに頼り切った体制には限界が見えています。

これからの地域には、見守りをデジタル技術で補完し、高齢者自身が役割を持てる場をつくり、専門職と住民の役割分担を整理する視点が欠かせません。

個々の支援を点で終わらせず、地域全体で面として支える発想が求められます。

介護思考で考える持続可能な支え方

ビジネスやインフラ設計の世界では、「すべてを同じ基準で守ろうとすると、結果的に全体が壊れる」という考え方があります。

道路や橋も、交通量や用途に応じて設計を変えることで、長く使い続けることができます。

介護も同じです。

元気な75歳には見守りと社会参加の機会を、軽度の支援が必要な人には部分的な支援を、重度の人には集中的なケアを行う。

負荷に応じて支え方を変えることで、全体として持続可能な仕組みになります。

人口構造の変化、労働力不足、財政制約という外からの圧力が強まる中で、「全員を同じように守る制度」はもはや成り立ちません。

まとめ

介護者として見極めるべき未来

介護者として大切なのは、「守ること」だけを目的にしない視点を持つことです。

高齢者の力を活かし、全員を一律に弱者にしない仕組みをつくり、支える側自身も守られる構造を整えることが重要です。

75歳以上の後期高齢者が増える社会は、必ずしも悲観すべき未来ではありません。

支え方を再設計できれば、社会全体の活力を保つことは十分に可能です。

現場・家庭・地域・制度が連動し、持続可能な支え方を実現していくことこそ、これからの介護者に求められています。

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