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外来患者の転倒リスク、
AIで算出
富士フイルムが病院向けに
2025/07/10 15:34
日経速報ニュース

【この記事の内容】
『7割の介護者が後悔…転倒前に“予測”しなかった代償とは?』
はじめに
介護の世界には「予防的ケア」という重要な考え方があります。
これは、問題が発生してから対応するのではなく、起こる前に兆候を見つけて対処する、という姿勢です。
医療の分野でいう「予防医学」に近いものです。
最近では、高齢者の転倒リスクにもこの考え方が求められています。
特に、短時間しか病院に滞在しない外来患者の転倒事故が増えており、その場で素早くリスクを判断し、適切に対応する必要性が高まっています。
富士フイルムが提供を始めるAIによる転倒リスク算出サービスは、この「予測と即応」を現場で可能にする、新たなツールといえるでしょう。
介護の現場に関わる私たちにとって、こうした技術は今後の働き方や安全対策の在り方を根本から変える可能性を持っています。

高齢者の転倒リスクがなぜ高まっているのか?
高齢者の増加と通院機会の増大
まず、高齢者人口の増加により、外来で病院を訪れる方が年々増加しています。
通院という行為は、以下のように多くの体力と判断力を必要とします。
・交通手段の利用や歩行移動
・病院内での待機や移動
・検査や診察における精神的
・身体的ストレス
これらが重なれば、たとえ普段は元気な方でも、バランスを崩しやすくなります。
さらに、外来では付き添いや介助者がいないケースも多く、自分の力だけで動くことが前提になります。結果として、転倒リスクは高まる一方です。
外来患者が抱える「見えにくいリスク」
外来患者は、病院に来る頻度が限られているため、直前の体調変化や服薬ミス、日常動作の変化などが把握しづらくなります。
これが、見落とされやすい「潜在的なリスク」となり、事故につながる可能性があります。

AIによる転倒リスク予測は何を変えるのか?
AIがスコアでリスクを「見える化」
富士フイルムのサービスでは、患者の年齢・病歴・診断記録などをもとにAIが転倒リスクをスコア化します。
これにより、以下のような行動が可能になります。
・高リスク患者に車いすを用意する
・看護師やスタッフが付き添う優先順位を明確にする
・医師やリハビリスタッフと早期に連携をとる
たとえるなら、航空機の操縦士がフライト前に機体の状態を「チェックリスト」で確認するように、医療や介護現場でも「事前確認」が可能になるのです。
介護施設や地域でも応用可能な技術
この技術は、病院だけでなく介護施設や地域サービスにも応用できます。
たとえば、以下のような場面で活用が期待できます。
・デイサービス送迎時にリスクが高い方を事前に確認
・ケアマネジャーが支援計画にAI結果を反映
・高リスク利用者には理学療法士(PT)や作業療法士(OT)による早期支援を実施

多様な視点から見る「転倒リスク」への対応
本人の視点
課題
自身の身体の衰えに気づきにくく、「自分は大丈夫」と思いがち
対応
AIによる客観的なスコアで自覚を促し、運動習慣などの改善を提案
家族の視点
課題
離れて暮らしているため、日常の変化やリスクを見落としがち
対応
AIデータに基づいた報告で、家族への情報提供を強化
地域の視点
課題
高齢化が進む地域では、人手や介護資源が不足している
対応
地域包括支援センターがAIを活用し、支援の優先順位を判断
介護者の視点(筆者の経験)
課題
「大丈夫だと思っていた人が突然転倒する」ことが多く、見極めが難しい
対応
AIスコアを参考に現場の優先順位を明確化し、業務の効率化と安全性を向上
抽象 → 具象 → 転用で考える
抽象
高齢者の転倒リスクは、目に見えにくく、日常の中に潜んでいる
具象
軽いふらつき、薬の飲み忘れ、無理な姿勢などが引き金となる
転用
AIで得られるデータを介護施設でも活用し、日常行動のなかに潜むリスクを可視化することで、予防的対応が可能になる

まとめ:高齢者の転倒予防は「予測の精度」がカギになる
高齢者の転倒は、時に寝たきりや認知症進行の引き金になる深刻な事故です。
重要なのは、「予兆をいかに見つけ、先に手を打てるか」という点です。
AIを活用した富士フイルムの取り組みは、まさにこの予測の精度を高めるものです。
私たち介護者は、こうした技術を積極的に取り入れ、日々の観察力や連携力と掛け合わせることで、より安心・安全な環境づくりを目指していくべきだと強く感じています。



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