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「認知症リハビリ」、
細かな工夫で能力生かす
スマホや付箋の活用で
2025/08/02 02:00
日経速報ニュース

【この記事の内容】
『認知症介護で“限界”を迎える前に…あなたが知るべき工夫とは?』
はじめに
介護では「残された力を活かす」という考え方がある
介護の現場では、「できないこと」ではなく「まだできること」に目を向ける「残存機能活用(ざんぞんきのうかつよう)」という視点が重視されています。
これは、少し枯れた木の枝を見て全体が枯れたと判断するのではなく、根や幹の生命力を信じて水やりや剪定を工夫する園芸に似ています。
認知症ケアも同じです。
すべての機能が一気に失われるわけではありません。
「どうすれば、今ある力を使って生活が続けられるか」を考えることが、認知症リハビリの基本となります。
認知症リハビリの目的は「その人らしさ」を守ること
結論
認知症リハビリテーションの目的は、認知症になっても“その人らしい生活”を可能な限り保つことです。
理由
認知機能が衰えても、本人に残る力や記憶はあります。
その力を日常生活に活かす工夫をすることで、生活の質(QOL)を維持することができます。
具体例
・予定管理にスマートフォンのアラーム機能を使う
・家電の操作を簡単な付箋でガイドする
・家事の手順を声かけで思い出させる
小さな工夫が「できること」の継続につながり、生活の安定にも貢献します。

介護者の視点
一人で抱え込まず「支え合う」介護を介護者にとって、認知症リハビリは単なるトレーニングではなく、「生活を支え合う仕組みづくり」です。
課題
・責任感が強すぎて何もかも一人でやろうとし、疲弊してしまう
・本人に任せるべき範囲が分からず、手を出しすぎてしまう
対応策
・作業療法士などの専門職と連携し、介護の役割を整理する
・見守ることを前提とした介護を意識し、過干渉を防ぐ
例
洗濯物をたたむ、食事の配膳を頼むなど、本人にできることを「役割」として任せると、自尊心が高まり、介護者の負担も軽くなります。
高齢者の視点
「まだできる」が心の安定に
・認知症の診断を受けた高齢者は、「何もできなくなるのでは」という不安に直面します。
課題
・社会からの偏見による萎縮
・自信を失い、孤立しやすくなる
対応策
・本人ができることを見える形で示し、達成感を持たせる
・日常に小さな目標を設定し、成功体験を積み重ねる
例
「近所のカフェまで行く」という目標をもとに、歩行や会話をリハビリに取り入れると、心身の安定につながります。
家族の視点
支援には「濃淡」があることを知る
課題
・「もう何もできない」と早期に諦めてしまい、手助けが過剰になる
・診断からサービス利用までの空白期間に対応が遅れる
対応策
・専門職と協力し、必要な支援と過剰な支援を見極める
・初期段階からリハビリを導入し、生活のペースを整える
例
料理手順を付箋で貼り、横で声かけをすることで、本人の力を引き出しながら安心感を与えることができます。

地域の視点
誰もが暮らしやすい「共生社会」へ
課題
・「認知症=何もできない」という固定観念
・地域で孤立し、支援の手が届きにくくなる
対応策
・認知症を“地域の課題”として共有し、共に支える仕組みづくりを進める
・地域住民が見守りや声かけを自然にできる環境をつくる
例
「認知症カフェ」での交流や、スーパー・薬局でのさりげない声かけが、本人の社会参加のきっかけになります。
介護福祉業界で起きていること
制度改定
2024年の介護報酬改定で、認知症への訪問リハビリ支援に重点が置かれ、報酬も引き上げられました。
専門人材の育成
2026年からは、精神疾患に特化した作業療法士の新たな認定制度が始まります。
医療・介護の連携
医師が訪問リハビリを紹介しやすくなる制度整備が進んでいます。
これらの変化は、認知症ケアを「医療」と「生活支援」の両輪で支える方向へと大きく動いています。

結論
「認知症=終わり」ではない時代へ
認知症リハビリは、本人の“今できること”を大切にし、それを生活に活かすための取り組みです。
スマートフォン、付箋、声かけなど、誰でもできる工夫によって、本人の生活の質が守られ、介護者や家族の負担も和らぎます。
「認知症になったら人生は終わり」という誤解を乗り越え、誰もが希望を持って暮らせる社会へ。
今こそ、介護者や地域が支援の在り方を見直し、新しい認知症観を育てていくことが求められています。



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