認知症ケアの関連記事
認知症ケアの社会的コスト、
米では1兆ドル超
働く家族の介護負担増
チャートは語る
2025/09/21 02:00
日経速報ニュース

【この記事の内容】
『介護してたら、私が認知症に…“二重リスク”に苦しむ人が増える理由とは?』
はじめに
「ケアの連鎖」支える人もまた支えられる存在
介護と聞くと、「サポートが必要なのは高齢者」と思われがちですが、実は支える側である介護者自身も支援を必要としています。
この視点を「ケアの連鎖」と呼びます。
つまり、介護者が安定していなければ、質の高い介護は成り立たないという考え方です。
これは、飛行機の酸素マスクのルールに似ています。
非常時、まず自分にマスクを装着しないと、他人を助ける余裕すら持てません。
介護現場でも同じように、介護者の健康と心の余裕が、認知症ケアの質に直結するのです。
見えないコストが膨らむ──認知症が社会にもたらす経済的負担
「社会的コスト」とは、個人の医療費だけでなく、失われる労働力、生産性、家族の時間や精神的負担などを含んだ、社会全体に及ぶ損失のことです。
アメリカでは2024年、認知症に関わる社会的コストは年間1兆ドルを超えました。
その内訳は以下の通りです。
・医療費(薬や診断など):約3600億ドル
・患者の労働力損失:約2330億ドル
・家族などによる無償の介護:約5990億ドル
特に注目すべきは、総額の6割近くが「非公式な介護」、つまり家族が無償で担っているケアによるものです。
これは「見えない経済的負担」とも言えるでしょう。
介護者が認知症になる
“二重のリスク”を防げ
認知症患者を支える家族が、自らも認知症になるリスクを抱えるという衝撃的な研究結果があります。
主な要因は以下の通りです。
・社会とのつながりが絶たれ、孤立する
・睡眠不足やストレスが慢性化する
・趣味や運動といった自分の時間を奪われる
・経済的な不安が日常化する
こうした生活は、生活の質(QOL)を著しく下げ、脳の認知機能や精神面に悪影響を及ぼします。
つまり、介護者自身もまた“ケアの対象”なのです。
介護者支援は、認知症予防に直結する
介護者への支援を強化すれば、患者本人の状態も安定しやすくなることがわかっています。
支援策には以下のようなものがあります。
・介護休暇制度の拡充→ 仕事を続けながら柔軟に介護できるようにする
・家族向けの心理ケアやスキル研修→ 正しい介護知識と心のゆとりを両立させる
・地域資源との連携(例:地域包括支援センター)→ 情報や相談、見守り支援を受けられる体制を整える
こうした取り組みは、介護者の負担軽減と患者の症状進行の抑制という“二重の効果”をもたらします。
地域社会全体で支える
“共助”のカタチへシフト
もはや介護は、家庭だけで抱える時代ではありません。
地域社会全体で「支える介護」へと視点を転換することが急務です。
・認知症カフェや地域交流の場を整備する
・高齢者見守りネットワークを構築する
・民間と連携し、多様な介護サービスを提供する
こうした取り組みは、孤立を防ぎ、介護者・高齢者の双方に安心感を与えることに繋がります。
介護現場で、いま起きていること介護福祉の現場では、以下のような問題が日々起こっています。
介護者:長時間労働、心の疲労、孤立感
高齢者:社会的孤立、認知機能の低下
家族:知識不足、経済的負担
地域:介護資源の偏り、支援制度の認知不足
これらの課題に向き合うには、行政、企業、地域住民の連携による多面的な対応が不可欠です。

介護者を守ることは、未来を守ることに繋がる
少子高齢化が進む日本では、「支える人の減少」と「支えを必要とする人の増加」という構造が避けられません。
だからこそ、家庭内だけで完結するケアから、社会全体で担うケアへと価値観を変える必要があります。
今後は以下のような協力体制が求められます。
企業:介護と仕事の両立を支援する制度導入
行政:制度整備や助成金による経済支援
地域:日常の見守り・助け合いの強化
家族:早期対応への理解と準備
まとめ
支援の先にある、希望ある未来へ
介護者が孤立せず、社会と繋がりを持ち続けることは、認知症の進行を抑える可能性があり、社会全体のコスト削減にもつながります。
「支える人を支える」この意識が、これからの高齢化社会を乗り越える鍵になるのです。
あなたの小さな行動が、社会全体の未来を支える一歩になります。
今こそ、家族・地域・社会が一体となって「共生のケア」を目指しましょう。



コメント