ビジネスケアラーの関連記事
ビジネスケアラー300万人時代
介護との両立支援、
職場で悩み相談も
2025/09/20 12:00
日経速報ニュース

【この記事の内容】
『もう辞めたい…仕事と親の介護を両立できず退職する人が年4万人!知られざる実態とは?』
はじめに
家族だけで介護する時代はもう限界
かつて「介護は家族が担うもの」という考え方が当たり前でした。
それは三世代同居が一般的だった時代の名残です。
しかし、現代は核家族化が進み、共働きが当たり前となった今、家族内だけでの介護には限界があります。
こうした背景の中で、働きながら家族の介護をする「ビジネスケアラー」が増加しています。
経済産業省の予測では、2025年にはその数が約307万人、2030年には318万人に達するとされています。
企業や社会全体がこの現実にどう対応していくかが、いま問われています。
ビジネスケアラーとは?
現代社会における新たな両立課題定義と背景
ビジネスケアラーとは、仕事をしながら家族などの介護を担う人のことを指します。
この層が急増している背景には、次のような社会的変化があります。
2025年問題:団塊世代全員が後期高齢者(75歳以上)になる
核家族化:家庭内に介護の担い手が少なくなっている長寿化
認知症の増加:介護期間が長期化し、対応も複雑化している
ビジネスケアラーが直面する課題
ビジネスケアラーが抱える主な課題は以下の通りです。
仕事との両立が難しい:急な介護対応で仕事を休まざるを得ない
精神的な孤独感:誰にも相談できず、ストレスが溜まる
経済的な負担:保険外の介護サービスは高額で、家計を圧迫する
キャリアの停滞:昇進や転勤を断念し、キャリアが中断される
企業が支援する介護の取り組み
「悩みを話せる職場」が両立の第一歩
はなまるの「ケアバル」
介護の悩みを語る場づくり香川県の飲食チェーン「はなまる」は、介護をテーマにした社員向けの交流会「ケアバル」を実施しています。
参加者はお酒を片手に、以下のような悩みを気軽に話し合っています。
・「親の通院日、仕事はどうする?」
・「介護施設の選び方がわからない」
単なる飲み会ではなく、悩みを共有できる安全な場として機能しており、「気持ちが軽くなる」という声が多く聞かれます。
企業側も、ここで出た声をもとに働きやすい環境整備を進めています。
ソフトバンクのオンライン支援
一方、通信大手ソフトバンクでは、オンラインでの介護支援を拡充中です。
介護いどばた会議:社員同士がチャットで介護の悩みを相談
専門家によるオンライン相談窓口:信頼できる回答が得られる
通勤支援制度:新幹線通勤の範囲拡大で、地方在住者も支援
これらは「介護と仕事を天秤にかける」のではなく、「両立を前提とした働き方」に転換する取り組みです。

保険外介護サービスの活用
制度のすき間をどう埋めるか?
制度の限界と現実
介護保険制度は一定の条件下でしかサービスが使えないため、以下のような保険外の自費サービスを頼るケースが増えています。
・掃除や食事づくりなどの日常的なサポート
・外出や通院の付き添い
・見守りや緊急対応
たとえば、家族と同居していると、生活援助は保険の対象外になることがあります。
利用者が増える民間サービス
介護ベンチャー「イチロウ」では、こうした保険外サービスの利用が急増。
2024年には前年の1.8倍にあたる4万4千回の依頼があり、そのうち約7割がビジネスケアラーによるものでした。
また、「SPIあ・える倶楽部」のトラベルヘルパーを活用すれば、車いすの高齢者でも旅行が可能になります。
これは、「思い出を共有する家族の時間」を取り戻す支援にもつながります。
課題は経済負担の重さ
こうしたサービスは1ヶ月あたり数万円〜十数万円が必要であり、継続利用には経済的余裕が必要です。
この点で、企業による福利厚生支援が鍵になります。
四つの視点から考える介護と仕事の両立課題
1. 介護者(ビジネスケアラー)の視点
課題:情報が乏しく、孤立しがち。キャリアが断たれる不安。
対策:社内相談窓口の設置、テレワークや時短勤務など柔軟な働き方の制度化。
2. 高齢者の視点
課題:「迷惑をかけたくない」という思いと、外出の機会喪失。
対策:自立支援を重視した介護と、趣味や旅行の継続を支える支援。
3. 家族の視点
課題:兄弟間での負担格差や介護うつなど精神的ストレス。
対策:家族間の役割分担の明確化、第三者の介入による精神的ケア。
4. 地域・社会の視点
課題:サービス提供の地域格差、企業間の対応のバラつき。
対策:地域包括ケアの推進、複数企業が連携する支援体制の整備。
介護業界で起きている変化
現場では何が進行しているのか?
・保険外サービスのニーズが急拡大
・若手介護職の離職率上昇
・介護職へのリスキリング(再教育)の必要性
・民間資格(トラベルヘルパー等)の注目度上昇
・ビジネスケアラーを支援する企業が増加
・AIやIoTを使った見守りシステムの導入が進行中
結論
「介護と仕事の両立」は、もう個人の問題ではない
これからの社会に必要なのは、「家族だけで頑張る介護」から「社会全体で支える介護」への意識の転換です。
今後の取り組みで必要な視点
・職場内で相談できる安心な空気と制度づくり
・柔軟な勤務形態や介護休暇制度の整備
・保険外サービス利用への企業支援
・地域と企業の連携による支援ネットワーク構築
介護に関わるすべての人が、支え合える社会へ。
介護と仕事の両立は、私たちの働き方や企業の在り方を見直すチャンスでもあります。



コメント