「家族に迷惑をかけたくない」高齢者の本音74.9%…それでも介護が破綻する理由とは?

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認知症に感じる不安、

「家族への負担」74% 

内閣府調査

2025/10/11 11:36

日経速報ニュース

認知症に感じる不安、「家族への負担」74% 内閣府調査 - 日本経済新聞
内閣府が10日発表した世論調査によると、自分が認知症になった場合、不安を感じることに「家族に負担をかける」と答えた人が74.9%に上った。複数回答で「できていたことができなくなる」は66.2%だった。厚生労働省の担当者は、認知症の人や住民が...

【この記事の内容】

家族に迷惑をかけたくない…高齢者が抱える“沈黙”とは?

はじめに

介護の世界では「本人の尊厳を守るケア」という考え方があります。

これは、たとえ認知症を発症しても「その人らしい暮らし」を保ち続けるために、本人の声を尊重しながら支援するという姿勢です。

この考え方を、ビジネス用語でいう「サポーティブリーダーシップ」に例えるとわかりやすいかもしれません。

社員が自ら考え動けるよう背中を押すマネージャーのように、介護もまた本人の自立を尊重しつつ、困ったときには支える立場に徹します。

言い換えれば、介護は「補助輪のような存在」。

本人がこけそうなときだけそっと支え、自分の力で進めるよう見守ることが理想なのです。

高齢者が最も不安に思うのは「家族に迷惑をかけること」

内閣府が行った調査によれば、認知症に対して不安を感じる人のうち、実に74.9%が「家族に負担をかけたくない」と答えました。

以下のような不安が上位を占めています。

・家族に負担をかける(74.9%)

・できていたことができなくなる(66.2%)

・家族や大切な思い出を忘れてしまう(51.1%)

・周囲に迷惑をかけてしまう(49.5%)

つまり、多くの高齢者が「自分自身の変化」よりも「周囲への影響」に強い不安を抱いているのです。

なぜ「家族への負担」が最大の不安なのか?

高齢者にとって、これまで家族を支えてきたという誇りがあります。

その立場が逆転し、自分が「支えられる側」になることに対して、戸惑いや葛藤を感じるのです。

介護現場では次のような声を頻繁に耳にします。

こんなに迷惑をかけるくらいなら、施設に入った方がいい

このような発言の背景には、「迷惑をかけたくない」「重荷だと思われたくない」といった自己否定の感情が隠れています。

これは、単に不安というより、「自分の価値が失われていく」ことへの恐れでもあるのです。

介護者ができること

「不安」を言葉にできる環境づくり

介護者の役割は、単にお世話をすることではありません。本人の心の声に気づき、受け止め、寄り添うことが何より重要です。

課題と現実

・ケアが形式的になり、本人の気持ちが置き去りになりがち

・家族の負担ばかりが注目され、本人の声がかき消されている実践すべき支援のあり方

・日常の会話の中で、不安や希望を引き出す

・本人が意思決定できるよう「選べる」選択肢を用意する

・「あなたは必要な存在です」と言葉と態度で伝える

現場での取り組み例

・認知症カフェやケア会議に本人が参加し、意見を伝えられる場をつくる

・その人の生活歴や価値観を大切にした「ライフストーリーケア」を実施する

「自立したい」気持ちと「迷惑をかけたくない」

気持ちの狭間で多くの高齢者は、認知症になっても「できるだけ自分のことは自分でしたい」と考えています。

しかし、日々できないことが増えていく現実の中で、「周りに頼らなければならない」という状況にジレンマを感じています。こうした心の声もよく聞かれます。

・「迷惑はかけたくないけど、忘れてしまう自分が怖い

・「認知症=誰かの負担になる」という社会的イメージがつらい

この背景には、認知症に対する偏見や、人に頼ることは“敗北”という価値観が根強くあることが見て取れます。

家族の視点:介護への葛藤と限界

介護する家族もまた、さまざまなプレッシャーと戦っています。

「支えたい」という気持ちと、「これ以上は無理かもしれない」という現実との板挟みです。

家族が抱える主な悩み

・仕事や育児との両立が困難

・心身ともに疲弊し、ストレスが限界に達する

・「もっとできたはず」と自分を責めてしまう家族が壊れてしまわないために必要なこと

・一人で抱え込まず、「チーム介護」の体制を作る

・ケアマネジャーや支援センターへ早めに相談する

・定期的な「レスパイトケア(介護者の休息)」を利用する

地域の視点:認知症に優しい社会をどう作るか?

認知症になっても、住み慣れた地域で安心して暮らすには、地域全体の理解と仕組みづくりが不可欠です。

地域に求められるアクション

・認知症サポーター養成講座の継続的な開催

・認知症カフェや住民交流の場の整備

・公共交通機関や店舗での見守り体制の構築

現場のリアルな課題

・多くの人が「自分には関係ない」と感じてしまう

・支援制度が点在し、情報がつながっていない

・高齢者自身が助けを求めづらい雰囲気がある

現場で起きていること

介護の課題と対応

具体的なあるケースと対応を紹介します。

・利用者が「家族に迷惑」と感じて引きこもりがちになる

→ 認知症カフェに誘導し、他者との自然な交流を支援

・家族が限界まで抱え込み、突然「入所希望」を出す

→ 地域ケア会議で事前に問題を共有し、緊急対応を回避

・支援制度の説明が難解で利用が進まない

→ イラストや事例を用いたわかりやすいガイドブックを作成

まとめ

「不安」は弱さではなく、生きようとする力の表れ

認知症に対する高齢者の不安は、単なる恐れではなく、「これからも人として尊重されたい」という強い願いの表れです。

介護者にできること

・本人の不安を受け止め、共感する

・家族や地域と連携し、孤立を防ぐ

・「一緒に歩む」ケアを日常の中に根付かせる

迷惑をかけたくない」という気持ちは、高齢者の優しさと誇りの証です。

だからこそ、私たちはその声を無視せず、寄り添い続けることが求められています。

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