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親の介護、やりすぎない
公的支援活用し離職を防ぐ
2025/10/14 05:00
日経速報ニュース

【この記事の内容】
『「親の介護=自分が全部やる」は大間違い!陥りやすい罠とは?』
はじめに
働きながら親を介護する「ビジネスケアラー」の現実
介護の現場には「介護はチームで支えるもの」という基本的な考え方があります。
これは、まるで舞台づくりに似ています。
主役の演者(=介護者)だけでなく、照明・音響・裏方といった多くのスタッフが連携することで舞台は成り立ちます。
介護も同じで、1人で背負いすぎると舞台は崩れてしまいます。
いま、仕事と並行して親の介護を行う「ビジネスケアラー」が急増しています。
その数は年々増加し、介護を理由に毎年約10万人が仕事を辞めているといわれています。
この背景には「すべて自分でやらなければならない」という思い込みや責任感が強く影響しています。
ですが、介護の本質は「がんばりすぎない」ことです。
公的な制度や地域の支援を正しく活用することで、介護と仕事の両立は十分に可能になります。
ビジネスケアラー増加の背景とは?
次のような社会的要因により、家族だけでは支えきれない介護が当たり前になってきました。
・少子高齢化が進み、介護を担う現役世代が減っている
・平均寿命の延伸により、介護期間が長くなっている
・地域に住む親を遠方から支える「遠距離介護」が増えている
・認知症など、複雑で専門的な対応が求められる介護が増えている
それにもかかわらず、「介護は家族の責任」という意識が根強く残っており、多くのビジネスケアラーが無理を重ねています。
公的支援の活用こそ、介護と仕事の両立の第一歩
「やりすぎない介護」は親不孝ではない「親の介護を外に頼むのは申し訳ない」と感じる方もいるかもしれません。
しかし、現代の介護は多職種連携が基本です。
医師、看護師、ケアマネジャー、ホームヘルパーなどの専門家と協力して進めることで、親のQOL(生活の質)も自分の生活も守ることができます。
介護保険制度などの支援を利用することは、決して「手抜き」ではなく、持続可能な介護体制をつくるための責任ある選択です。
家族間の理解と「チーム介護」の重要性
一人で抱え込まない「自分が頑張らなきゃ」という気持ちは尊いものですが、続けているうちに心も体も疲れてしまいます。
過去には、親の入浴や通院をすべて担っていた娘さんが、デイケアや訪問診療を導入したことで、訪問の頻度を月2回に減らし、介護と仕事を両立できるようになった例もあります。
これは手抜きではなく、賢い介護の仕方なのです。親と子で介護に対する意識の違いも。
ある調査によると、
・親世代の27.5%は「家族に介護してもらいたい」と希望している
・一方、子世代の58.3%が「自分で介護したい」と考えている
つまり、子のほうが介護を重く受け止めすぎている傾向があります。
「親孝行=全部自分でやる」という誤解が、結果的に負担や離職につながるのです。
だからこそ、介護の分担や支援の活用を家族全体で共有し、合意を取ることが大切です。

企業と地域も「介護のチーム」に加わる時代
地域では「頼れる場所」を知っておく
介護に関する相談は、地域包括支援センターやNPOなど、専門の窓口が各地にあります。
何か起きてから相談するのではなく、早めに連絡し、先回りの準備をすることが大切です。
支援制度を知ることで、いざというときに余裕を持って対応できます。
企業は「備える」姿勢が求められる
法改正により、企業には介護に関する制度や情報を社員に提供する義務が課されました。
とはいえ、対応が後手に回っている企業も多く存在します。
今後、企業側にも以下のような取り組みが期待されます。
・介護に関する社内セミナーの実施
・ケアマネジャーや相談機関との連携サポート
・社内に介護相談窓口を設ける
・働く人が離職しなくて済むよう、職場が介護の「チームの一員」になる必要があります。
介護離職を防ぐために、今からできる5つのこと
1. まずは介護保険の申請とサービスの確認
→ 地域包括支援センターに相談してみましょう。
2. ケアマネジャーとつながる
→ 最適な介護プランを立てるプロがサポートしてくれます。
3. 企業の制度を知る・確認する
→ 介護休業や給付金制度を活用する準備を。
4. 家族会議を開く
→ 介護の方針や役割分担を明確にしておきましょう。
5. 気持ちをため込まない
→ 疲れたら話す・相談する。
必要ならカウンセリングも活用。
まとめ
介護も仕事も「持続可能なスタイル」で
親の介護が始まると、「今すぐやらないと」と焦る気持ちになるものです。
しかし、その焦りが離職や心身の不調につながっては本末転倒です。
介護も仕事も、どちらも長く続けていく必要があります。
そのためには、
「自分だけで頑張らない」
「公的支援や地域・企業を巻き込む」
「家族全員で分担する」
という意識改革が欠かせません。
やりすぎない介護は、冷たい選択ではなく、未来を見据えた最善の選択です。
親を想うからこそ、自分の生活も大切に。
それが、これからの介護の新しいかたちです。



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