医療費の関連記事
75歳以上の医療費「3割」
対象拡大再燃
給付抑制も現役保険料に影響
2025/10/28 05:00
日経速報ニュース

【この記事の内容】
『3割負担で倒れる家庭!介護費が1.5倍に増えた理由とは?』
はじめに
介護分野では「自立支援と共助」という考え方がある
介護の現場では「自立支援と共助のバランス」という考え方が大切にされています。
これは、「できることは自分で行い、難しいことは社会全体で支え合う」という意味です。
この理念は医療制度にも共通します。
医療費の「3割負担」対象を広げるかどうかという議論は、まさに自立と共助の境界線をどこに引くのか、という問題に他なりません。
介護の現場では、利用者ができる限り自分の力で生活を続けられるよう支援します。
しかし、制度の設計が「自助」ばかりを求める方向に傾くと、支え合いの仕組みが弱まり、結果的に孤立や健康悪化を招く危険があります。
医療費の自己負担率を見直す動きも、同じような構図の中で揺れ動いています。
なぜ「3割負担」拡大が議論されているのか
医療費の「3割負担」拡大が議論されている背景には、いくつかの要因があります。
まず、高齢者人口の急増があります。
団塊の世代がすべて75歳以上となり、医療費が急激に増えています。
次に、現役世代の保険料負担の増加です。
医療制度では、現役世代が高齢者の医療費を支える“仕送り”の仕組みがあり、その負担が限界に近づいています。
また、高齢者の中でも所得格差が拡大しており、一定の所得がある人まで一律の低負担とすることへの不公平感が高まっています。
さらに、国の財政が借金に頼っており、社会保障費の持続が難しくなっていることも大きな理由です。
つまり、「公平性」と「持続可能性」をどう両立させるかが、今回の議論の核心なのです。

介護者として考える「3割負担拡大」の影響
介護の現場から見て最も懸念されるのは、「通院控えによる健康悪化」です。
医療費の自己負担が増えると、どうしても受診を控える人が出てきます。
実際、血圧の薬をもらう頻度を減らした結果、脳梗塞を起こした高齢者や、「もう少し様子を見よう」と受診を遅らせて肺炎を悪化させた例もあります。
一時的には医療費を抑えられても、病気の悪化で介護が必要になれば、結果として介護費用が増大します。
医療費削減が目的であっても、長期的に見れば社会全体の負担が増えるという「逆転現象」が起こり得るのです。
高齢者の心境と家族の葛藤
高齢者の多くは、「年金だけでは生活が厳しい」「若い世代に迷惑をかけたくない」と感じています。
その一方で、「病院に行かないと不安」という思いもあり、経済的不安と健康不安の間で揺れ動いています。
家族の立場から見ると、親の医療費を負担しながら自分の子どもの教育費も支払う「ダブル負担」に直面しているケースが少なくありません。
「親には長生きしてほしいが、経済的には厳しい」という葛藤を抱える家庭も多いです。
介護者としては、家族の健康を守りながら、家計を維持するための「現実的なバランス」を取ることが求められています。
地域社会としての課題と対応
地域では、医療と介護をつなぐために包括支援センターや在宅医療チームが活動しています。
しかし、3割負担の拡大で受診控えが増えれば、医療と介護の連携が途切れ、支援の手が届かなくなるおそれがあります。
その対策として、訪問診療の普及や、医療・介護費用の相談窓口の拡充が重要です。
また、地域住民による見守りや送迎支援、服薬管理のサポートといった“地域の共助力”も欠かせません。
地域が一体となって「誰もが医療にアクセスできる環境」を整えることが、今後の課題です。
介護現場から見た今後の展望
制度改正によって介護現場には次のような変化が予想されます。
通院頻度が減り、在宅介護の比重が高まります。医療の介入が遅れることで介護度が上がる可能性もあります。
また、介護者は健康管理や通院同行の負担が増し、医療と介護の連携がこれまで以上に重要になります。
介護分野ではよく「医療の軽視は介護の重荷になる」と言われます。
医療制度の設計が変われば、介護現場もその影響を直接受けるのです。
まとめ
公平性と安心の両立をめざして
介護者として感じるのは、「負担の公平性」と「医療へのアクセス保障」の両立こそが、これからの社会に求められる姿だということです。
そのためには、所得に応じた柔軟な負担設定や、金融所得の正確な反映、公平性の確保が必要です。
さらに、受診抑制を防ぐ補助制度や、医療・介護の情報を連携して無駄を減らす仕組みづくりも欠かせません。
医療制度の数字の裏には、ひとりひとりの生活があります。
3割負担の拡大は、「誰がどれだけ支えるか」という議論ではなく、「どうすれば、すべての人が健康で安心して暮らせる社会を保てるのか」という問いに向き合うきっかけなのです。



コメント