【放置NG】家族が見逃す“見えない老化”のサインとは?

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大塚製薬、眼科遺伝子治療薬

「4D-150(抗VEGF薬)」に関する

ライセンス契約を締結

2025/10/31 15:58

日経速報ニュース

大塚製薬、眼科遺伝子治療薬「4D-150(抗VEGF薬)」に関するライセンス契約を締結 - 日本経済新聞
【プレスリリース】発表日:2025年10月31日【医療関連事業】眼科遺伝子治療薬「4D-150(抗VEGF薬)」に関するライセンス契約を締結‐ 4DMT社より、日本を含むアジア・オセアニア地域における独占的な開発・販売権を取得 ‐大塚製薬株...

【この記事の内容】

70代の3人に1人が気づかない「見えない老化」介護が必要になる前にできることは?

はじめに

介護の現場では、「身体の衰えは、心の不自由さを招く」という考え方があります。

これは、視力や聴力といった感覚機能が低下すると、外の世界との関わりが減り、生活への意欲や社会的つながりが失われていくことを意味します。

その中でも特に注意が必要なのが「視力の低下」です。

視力が落ちると転倒やうつ、さらには認知機能の低下を引き起こすリスクが高まります。

この記事では、高齢者に多い視力障害の原因と、その予防や介護の現場でできる支援方法について、具体的に考えていきます。

高齢者の視力障害の主な原因

高齢者の視力障害は、主に次の4つの病気によって引き起こされます。

まず注目すべきは加齢黄斑変性(AMD)です。

これは、視力の中心を担う黄斑が障害され、ものが歪んで見えたり、中心が暗く見えたりする病気です。

50歳以上の日本人の約1.3%が罹患しているとされ、進行すると顔や文字が見えづらくなるため、生活への影響が非常に大きいのが特徴です。

他にも以下のような病気があります。

白内障:水晶体が濁ることで視界がかすむ。手術で改善できる。

緑内障:視神経が徐々に障害され、視野が欠ける。点眼や手術で進行を抑える。

糖尿病網膜症:糖尿病による血管障害で出血が起こり、視力が低下。

血糖管理が重要。

いずれの病気も、早期発見と継続的な治療が欠かせません。

治療の進化

抗VEGF療法から遺伝子治療へ

現在、加齢黄斑変性の標準治療は「抗VEGF薬の硝子体注射」です。

VEGF(血管内皮増殖因子)という物質の働きを抑えることで、異常な血管の発生を防ぎます。

ただし、この治療には課題があります。

定期的に注射が必要で、通院負担や費用の問題から治療継続が難しいケースも多いのです。

こうした課題に対して、一度の投与で長期的な効果を発揮する遺伝子治療薬の研究が進んでいます。

これは、ウイルスベクター(AAV)と呼ばれる運搬体を使い、治療用の遺伝子を網膜細胞に届ける仕組みです。

この技術の発展は、「通院の負担を減らし、高齢者が自立して暮らせる未来」への希望を示しています。

介護者視点:視力低下をどう支えるか

介護者にとって、視力障害の支援は「見えにくさ」への対応だけではありません。

行動の制限や不安感など、心理面への支援も必要です。

たとえば、次のようなサポートが効果的です。

環境整備

段差をなくし、照明を明るくする。

家具や壁の色にコントラストをつける。

声かけ

右に段差があります」など、具体的な言葉で案内する。

生活リズムの維持

外出を促し、昼夜のリズムを崩さないよう支援する。

受診サポート

定期的な眼科受診の予約や送迎を介護者が支援する。

介護者は、「できないことを指摘する」のではなく、「できる方法を一緒に見つける」という姿勢で関わることが重要です。

高齢者視点:視力を失う不安と向き合う

視力の低下は、単に見えにくくなるだけでなく、「生きる力を失う」体験でもあります。

新聞が読めない、顔が見えないといった現実は、社会とのつながりを断つような喪失感を伴います。

多くの高齢者は、

・「周囲に迷惑をかけたくない

・「見えないことを知られたくない

と感じ、視力障害を隠す傾向があります。

介護者は、本人の自尊心を尊重しながら、「できること」を共に見つけていく姿勢を持つことが大切です。

それが本人の意欲を引き出し、自立支援へとつながります。

家族視点:気づきと早期対応の重要性

家族は、日常の中で変化にいち早く気づく存在です。例えば次のような行動が見られたら注意が必要です。

・テレビを近くで見るようになった

・食事をこぼす回数が増えた

・外出を避けるようになった

・スマートフォンや新聞を見る時間が減った

これらは視力の低下だけでなく、うつや社会的孤立のサインであることもあります。

家族が早めに気づき、眼科受診を促すことが介護予防の第一歩です。

地域・社会視点:見えづらくても暮らせるまちへ

視力障害は個人だけの問題ではなく、地域全体の生活支援の課題です。

地域として取り組むべきことには、以下のようなものがあります。

・見えづらい人にも分かる標識や色使いの工夫

・点字ブロックや音声案内の整備

・地域サロンやデイサービスでの相談機会の提供

・音声読み上げ・拡大アプリなどICT支援の普及

これらの取り組みが、視覚障害をもつ高齢者が安心して外出し、社会と関われる地域づくりにつながります。

介護予防の視点から見る視力障害対策

視力障害は、転倒や閉じこもり、認知症リスクを高める「介護リスクの起点」です。

そのため、介護予防では以下の3段階の対策が重要です。

一次予防(発症予防)

定期的な眼科検診、栄養バランスの取れた食事、禁煙

二次予防(早期発見)

家族や介護者による観察、視覚の変化への気づき

三次予防(重度化防止)

継続的な治療支援、最新治療情報(抗VEGF・遺伝子治療)の提供

介護の現場では、「視る力を守ること」が「生きる力を守ること」に直結します。

おわりに

介護者として視力障害に向き合うとき、私たちは「見えない現実」に対応するのではなく、「かつて見えていた世界をどう取り戻すか」を支援する立場にあります。

医学の進歩が進む今、遺伝子治療などの新技術は希望を与えていますが、それだけで十分ではありません。

日々のサポート、心理的な支え、そして地域の協力こそが、真の介護予防の鍵です。

見えづらくても、生きづらくない社会」を目指して。

それが、これからの介護に求められる視点だといえるでしょう。

まとめ

・視力障害は介護リスクの早期サイン

・主な原因は加齢黄斑変性・白内障・緑内障

・医学の進歩が希望を生む一方、支援の継続が不可欠

・介護者・家族・地域が連携し、「見えない不安」を減らすことが重要

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