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「隠れ高血圧」を見逃さないために
いつでもどこでも測定の習慣を
2025/11/06 05:00
日経速報ニュース

【この記事の内容】
『朝晩だけ測って安心は危険!家族が知らない“隠れ高血圧”の兆候とは?』
はじめに
介護の現場に潜む「見えない変化」に気づく力を
介護分野では、「見えていることがすべてではない」という考え方があります。
利用者が笑顔を見せ、食事をしっかり取っていると、「今日も元気そうだ」と安心してしまうことはありませんか?
しかし、その安心の裏で、体調の変化や病気の兆候が静かに進行していることも少なくありません。
この考え方は、血圧管理にも当てはまります。「血圧は正常だから大丈夫」と思っていても、実は“隠れ高血圧”という見えないリスクが潜んでいるのです。
一見落ち着いて見える数値の裏に、健康の落とし穴が隠れていることがあります。
「血圧が正常」でも油断できない理由
一度の測定で「正常」と出ても、それが本当の健康を意味するとは限りません。
血圧は時間帯、気温、感情、環境などによって常に変動する「生きた数値」です。
診察室や健康診断の一瞬の結果だけを信じてしまうと、重大な変化を見逃してしまう可能性があります。
たとえば、次のようなタイプがあります。
・朝方に急上昇する「早朝高血圧」
・夜間に下がらない「夜間高血圧」
・ストレスを受ける環境で上がる「昼間高血圧(ストレス下高血圧)」
これらは医療機関では見逃されやすく、“仮面高血圧”とも呼ばれます。
介護者が「普段は問題ない」と思っていた高齢者が、ある日突然、脳卒中や心筋梗塞を起こすケースもあります。

介護者視点
「変化を観る目」と「測る習慣」を
介護者に必要なのは、利用者の「いつもと違う」を見つける力です。
血圧の変化は、体の状態だけでなく、生活リズムやストレスの蓄積も映し出します。
介護現場では、次のような課題が見られます。
・毎回同じ時間にしか測らず、日中の変動を把握できていない
・緊張や不安による一時的な上昇を見逃している
・測定回数が少なく、変化の傾向をつかみにくい
これを防ぐためには、次のような工夫が有効です。
・朝・昼・夜など複数の時間帯で測定する
・血圧とあわせて表情・睡眠・食欲なども記録する
・家族と情報を共有し、在宅と施設のデータを一貫して管理する
介護者の役割は医療行為ではなく、「兆候の早期発見」です。
日常の中で小さな変化を“測る”ことが、命を守る第一歩になります。
高齢者視点
「安心」と「油断」は紙一重
高齢者の中には、
「血圧は昔から正常」
「薬を飲んでいるから安心」
と思っている方が多くいます。
しかし、血圧は年齢や環境によって変化する“動的な指標”です。
見逃しの背景には、次のような心理があります。
・病気を認めたくない、通院が面倒と感じる防衛心理
・過去の正常値を基準にしてしまう自己判断
・測定がストレスになるという感情的な抵抗
こうした心理が、「隠れ高血圧」を見逃す原因になります。
介護者ができるサポートとしては、測定を「義務」ではなく「習慣」にすることが重要です。
・生活の流れに組み込む(例:「朝の歯磨き後」「夕食前に測る」)
・測定結果を一緒に確認し、会話を通して安心感を持たせる
「測ること」が不安を増やす行為ではなく、「安心をつくる時間」となるように工夫しましょう。
家族視点
見えない時間の血圧変化を補う工夫
在宅介護では、家族が24時間血圧を把握することは難しいものです。
特に夜間や外出中の変動は、本人にも家族にも気づきにくい部分です。
家族が抱える主な課題は次の通りです。
・朝晩の測定だけで、日中の変動が分からない
・医師へ伝えるデータが不足している
・体調変化を数字で裏づけられない
このような課題には、次のような対応が有効です。
・自動血圧計を寝室や居間など複数の場所に設置する
・スマート血圧計やアプリを活用してデータを共有する
・薬局や公共施設に設置された血圧計(キオスク血圧)も活用する
家族が“数値を見える化”することで、医師や介護職との連携が強化されます。
今や、血圧管理は「家庭・医療・介護」が一体となって行う時代です。
地域視点
「どこでも測れる社会」づくりへ
薬局や自治体施設、ショッピングモールなどに設置されている自動血圧計。
こうした「キオスク血圧」は、地域全体で健康を支える仕組みとして注目されています。
地域では、以下のような取り組みが広がっています。
・公民館や薬局での「血圧チェックデー」開催
・シニアクラブなどで「血圧記録ノート」の配布
・地域包括支援センターによる測定支援
介護者ができることは、こうした機会を利用者や家族に紹介し、外出支援や地域交流の中に血圧測定を自然に取り入れることです。
「血圧を測ること」は、医療だけでなく、地域全体の健康行動でもあります。
結論
「正常」という言葉の裏に潜むリスク
介護者として、「血圧が正常だから安心」という言葉をうのみにせず、「いつ」「どこで」「どんなときに」血圧が変化しているかに注目することが大切です。
血圧を“測ること”は、単なる数字の確認ではなく、「見守ること」「気づくこと」「支えること」につながります。
介護・家族・地域が連携し、“いつでも、どこでも、誰でも測れる環境”を整えることが、隠れ高血圧から命を守る最良の予防策です。
「測ること」は“見守ること”介護の基本は「観察」と「記録」です。
血圧の測定も、その大切な一部です。
日々の小さな数値の積み重ねが、利用者の命を守る「見えない盾」となります。
街で血圧計を見かけたら、ぜひ一度測ってみてください。
その一回が、“見えない危険”を見つけるきっかけになるかもしれません。



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