学ばない高齢者ほど危ない…健康寿命を縮める“知られざる落とし穴”とは?

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高齢者の「大学」、

愛知・大治で開設 

健康とリーダーシップ学ぶ

光る現場

2025/11/23 05:00

日経速報ニュース

高齢者の「大学」、愛知・大治で開設 健康とリーダーシップ学ぶ - 日本経済新聞
名古屋市の西隣に位置する愛知県大治町が2025年度から「100歳大学」を開いた。シニアが大学教員など専門家から健康やリーダーシップについて学ぶプログラムだ。楽しみながら健康寿命を延ばし、世代間交流の活性化や地域課題の解決に自主的に取り組むリ...

【この記事の内容】

あなたの親も危険?“学びを失った高齢者”に起きる異変とは

はじめに

高齢者が学びの場に参加し、専門家から健康やリーダーシップを学ぶ取り組みは、介護分野で重視される「良い環境が生活機能を高める」という考え方と深く結びついています。

つまり、心身を刺激する学びの機会があるだけで、身体機能・認知機能・社会性といった生活機能は大きく向上する可能性があります。

そこで本稿では、大学教員などの専門家から学ぶ“100歳大学”の取り組みを題材に、介護者としてどのように生きがいを支援できるのかを、介護思考を用いて多角的に考察していきます。

高齢者が学びに向かう心境や背景、地域が抱える課題などを踏まえながら、なぜ「学び」が高齢者の人生を再び動かすのかを解説します。

100歳大学が示す「学び直しが生きがいを取り戻す」という結論

結論として、介護者が最も意識すべき点は、高齢者が学ぶ場を得ることで自立心・社会性・健康意識が高まり、生きがいが再び構築されることです。

その理由は、学びの場が脳への刺激、人との交流、役割の獲得といった複数の好循環を生み出すからです。

これらの要素は、介護現場で日々課題となる「意欲低下」や「孤立感」の改善にも直結します。

本稿では、介護者・高齢者・家族・地域それぞれの視点から、この仕組みを具体的に紐解いていきます。

高齢者が学びに向かう心理的背景

高齢者が100歳大学のような取り組みに参加する背景には、次のような要因が見られます。

心理的背景(具象)退職による役割の喪失や、新しい人間関係が作りにくいことによる孤独感が強まることが多くなります。

また、健康不安の高まりから「このまま生活が縮小していくのではないか」という焦りを抱く方もいます。

さらに、自分の経験を活かす場が減ったことで「必要とされていない」と感じやすくなり、社会の変化から取り残されている感覚を持つ方も少なくありません。

参加を後押しする要因(抽象)

一方で、専門家から教わる安心感や、仲間と学べるコミュニティ性が参加の背中を押しています。

健康寿命が延びるかもしれないという期待と、地域で何か役に立ちたいという内なる動機も高齢者を動かす要因になっています。

介護現場と学びの場はどこが似ているのか

介護の本質には「生活の全体性を支える」という考えがありますが、学びの場も同じ性質を持っています。

介護現場では、生活の中で「できた」と感じる体験を積み重ねて自己効力感を高めます。

これは学びの場で成果をアウトプットすることとよく似ており、どちらも個人の成長を促す役割を果たしています。

また、人間関係の形成も共通しています。

介護現場では介護者・利用者・仲間との関係が中心ですが、学びの場でも講師や仲間、地域との関係性が育まれます。

こうした点から、学びの場はもう一つの介護予防環境として機能していると言えます。 

介護業界で起きていること

外圧としての背景

介護現場では認知症高齢者の増加、人材不足、介護保険財源の逼迫などが続き、従来の介護だけでは地域の維持が難しくなっています。

このような状況では、高齢者自身が自立や社会参加を通じて地域に関わる仕組みが求められています。

100歳大学は、この外圧への具体的な解決策の一つであり、高齢者の自発的な参加と役割形成を支えるモデルです。

高齢者にとっての「学び」とは何か

学びの内容は栄養や運動、音楽、コミュニケーションなど多岐にわたりますが、それぞれが生きがいと密接に関わっています。

健康に関する知識は自己管理につながり、料理や軽運動は生活機能を維持する助けになります。

さらに、音楽やコミュニケーションは感情を活性化し、仲間との協力作業は孤立を防ぎます。

特にリーダーシップを学ぶことは、「誰かの役に立つ」という自尊心の回復につながり、人生の後半で新たな役割を持つ大きな機会となります。

視点ごとに見える課題と対応

介護者視点

刺激のある環境づくりを介護だけで補えないという課題があります。

外出への不安や引きこもりを抱える家族からの相談も多く、役割喪失による意欲低下も見られます。

これに対して、介護者は学びの場を積極的に紹介し、体力面や人間関係への不安に寄り添う事前支援が効果的です。

高齢者視点

初対面の人との交流への不安や「今さら学べるのか」という自己否定が課題です。

体験型プログラムで小さな成功体験を積み重ね、少人数グループで安心感を持ちながら学ぶことが効果を高めます。

家族視点

外出を心配して反対する、介護負担が増えると誤解するなどの問題があります。

家族に学びが自立支援になることを説明し、一緒に成長を感じられる場を作ることが必要です。

地域視点

ベッドタウン化により人間関係が希薄になり、若年層と高齢層の接点が少なく、地域活動の担い手も不足しています。

学びの場で育ったリーダーが地域の企画運営に関わることで、多世代交流が自然と生まれてきます。

介護現場での実践例

デイサービスでは栄養や脳活、音楽のミニ講座を定期的に開催し、ご利用者が講師役となる仕組みも導入しています。

外部の大学や専門家との連携も行い、学んだことを「気づきメモ」としてアウトプットする仕組みを作っています。

地域イベントの企画を一緒に行うことで、意欲や認知機能の向上がみられています。

まとめ

学びを通じた生きがいの循環をつくる

介護者が目指すべきは、高齢者が「再び学び、再び役割を持ち、再び社会とつながる」循環をつくることです。

100歳大学のような学びの場は、この循環をつくる強力な支援装置であり、健康寿命延伸や認知症予防、地域リーダーの育成、孤立防止、介護負担軽減、多世代交流の活性化など、多くの効果を生みます。

介護は生活を支え、学びは人生を動かします。この二つを組み合わせることで、高齢者の生きがいは確実に再構築されていきます。

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