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70歳前後「アラ古希」
ワーカーの悩み
トイレ・耳が遠い…
配慮途上
2025/11/25 05:00
日経速報ニュース

【この記事の内容】
『アラ古希の8割が悩む“職場の無理解”とは?70歳就労の落とし穴』
はじめに
アラ古希(70歳前後)の人が働き続けることは、今では珍しいことではありません。
企業には70歳までの就業機会を確保する努力義務がありますが、現場では「トイレが近い」「耳が聞こえにくい」など、加齢による変化への配慮が十分とはいえません。
介護分野では「できることを奪わず、できないことを支える」という基本理念があります。
この考え方は、シニア雇用にもそのまま転用できます。
つまり、高齢者が持つ能力を活かしつつ働き続けられるよう、環境側を変えるという視点が重要になります。
この記事では介護者の視点を軸に、アラ古希世代が抱える働きづらさの背景と、企業が果たすべき役割をより分かりやすく整理して解説します。
アラウンド古希が働き続ける時代 ― 背景と高齢者の心境
■結論
アラ古希が働き続ける理由は、経済的事情だけではありません。
「社会とのつながりを持ちたい」
「役割を果たしたい」
という心理的な理由が大きく、これが就労継続への強い動機になっています。
一方で、加齢に伴う体の変化が働きづらさを大きくしています。
■理由
65歳以上の就業者は年々増加し、70代前半でも働く人は半数近くに達しています。
しかし、頻尿や聴力低下、体力の衰えといった変化は外見からは分かりにくく、本人も言い出しづらいことが多いのが実情です。
■具体例
・トイレ休憩が短くて間に合わない
・聞こえているのに言葉として理解しづらい
・一度は作業できるが、長時間の継続が難しい
・視力低下が原因で作業ミスや事故のリスクが高まる
これらは介護現場で日常的に見られる自然な変化であり、特別なことではありません。
介護分野の考え方を他職種に転用する
介護の現場では「環境調整」という視点がよく使われます。
これは、本人の残された能力を最大限に活かすために、周囲の環境を変えるという考え方です。
■転用
この考えを企業の職場にそのまま当てはめると、高齢者が働きやすい環境を企業側が整えるという方向性になります。
■具体化すると
・頻尿 → 休憩時間を柔軟に調整する
・聴力低下 → 音声を文字化するツールを導入する
・体力低下 → 立ち仕事を減らしたり、作業量を調整する
・転倒リスク → 通路を整理し、滑りにくい床にする
介護で培われた「負担を減らすための工夫」は、一般企業でも十分に活用できます。
外圧的に捉える ― 70歳までの就業機会確保は社会からの要請
■結論
高齢者雇用は、企業の善意で行う取り組みではなく、社会全体の構造によって求められている課題です。
■理由
・70歳までの就業機会確保は企業の努力義務
・労働人口の減少により、シニア人材の活用は不可避
・高齢者の就労は、介護保険や医療保険の持続にも影響
・65歳以上の働く人は今後さらに増える見通し
■具体例
シニアが働ける環境整備を怠れば、人手不足が深刻化し企業の競争力も低下します。
逆に、シニアの強みを活かせれば、企業にとっても大きな戦力になります。

視点別:アラ古希の就業をめぐる課題と対応策
ここでは、介護者・本人・家族・地域の4つの視点からまとめます。
【介護者視点】
■課題
・加齢変化の理解が浅く、職場に誤解が多い
・身体的な困りごとが「甘え」とされがち
・無理をした結果、転倒や体調悪化につながる
■対応策
・シニア向けアセスメントの取り入れ
・勤務シフトや休憩の個別調整
・聴力や視力の変化に応じた機器の導入
・職場全体に高齢者理解の研修を実施
【高齢者本人視点】
■課題
・迷惑をかけたくないという思いが強く、相談しにくい
・聞き返しづらく、誤解が生じやすい
・体力の変化に気づいても「まだやれる」と無理しがち
■対応策
・文字起こしアプリの活用
・1時間に1回の軽い運動を習慣づける
・職場に健康状態を共有できる仕組みを作る
・自分の体調に合わせた働き方を選べる環境づくり
【家族視点】
■課題
・親の働きすぎによる健康悪化が心配
・長時間労働や通勤のリスク
・将来の介護への不安
■対応策
・家族間で就労状況を共有する
・在宅勤務や短時間勤務を企業に相談
・親の健康チェックを定期的に行う
・将来に備えたライフプラン作成
【地域視点】
■課題
・地域内に高齢者が働ける場所が少ない
・移動手段が限られ、通勤が負担
・高齢者向けの就労環境整備が不十分
■対応策
・自治体と地域企業の連携強化
・移動支援サービスの充実
・シニア向け講座や研修の開催
・企業間での人材シェアリング
介護福祉領域で起きていること
介護現場では、アラ古希世代の働き手が増えたことで以下の問題が顕在化しています。
・70歳以上の介護職員が増加
・視力・聴力の低下による事故リスクが増える
・夜勤や力仕事が難しくなり仕事内容を再調整
・休憩の時間配分に個別対応が必要
・ICT機器のフォント調整や操作支援が増加
・通院や家族介護と仕事の両立支援が求められる
・高齢者同士が支え合う職場構造が増えた
介護現場で当たり前になっている対策は、一般企業でも十分活かせる内容です。
結論
アラ古希が安心して働ける環境づくりは企業の責務
アラ古希の働き手は、社会を支える重要な存在です。
介護の知見を取り入れれば、「環境を整えることで、高齢者が持つ能力を最大限に発揮してもらう」という視点が明確になります。
70歳までの就業機会確保は努力義務ですが、企業にとっても社会にとっても大きなメリットがあります。
企業・地域・家族・介護者が連携し、高齢者が安心して働き続けられる社会づくりが求められています。



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