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就業者最多なのに働く時間は1割減
「超細切れ労働」が迫る業務改革
労働臨界
2025/12/13 05:00
日経速報ニュース
【この記事の内容】
『なぜ介護現場は人がいるのに崩壊するのか?致命的構造とは』
はじめに
介護の現場では以前から、
「すべてを一人で抱え込まない」
「できる人が、できることを、できる時間だけ担う」
という考え方が大切にされてきました。
これは本来、利用者へのケアを安定して続けるための知恵ですが、今まさに働く側の就労設計にもそのまま応用できる考え方だと感じています。
近年、介護現場では慢性的な人手不足が問題視されています。
しかし実態をよく見ると、単純に「人が足りない」わけではありません。
実際には、一人ひとりが働ける時間そのものが短くなっているという構造的な変化が起きています。
この状況を企業経営にたとえるなら、「従業員数は増えているのに、稼働時間が分散し、従来の業務設計では回らなくなっている状態」に近いと言えるでしょう。
こうした変化に対応するために重要になるのが、「業務分解」と「超細切れ労働」という発想です。
本記事では、介護者の立場から、介護就労問題の背景を整理し、業務分解という考え方の本質と、介護施設への人材派遣でどのように実装できるのかを、高齢者・家族・地域それぞれの視点も交えながら考えていきます。
介護就労問題の結論
結論から述べると、介護人材不足の本質は「人数不足」ではなく「時間の分断」にあります。
そのため、フルタイム人材だけを前提にした体制には限界があり、業務を細かく分けることで短時間しか働けない人材を戦力化することが不可欠です。
なぜ就業者が増えているのに、介護現場は苦しいのか女性やシニア層の就労が進み、働く人の総数は増えています。
一方で、一人あたりの平均労働時間はこの約20年でおよそ1割減少しました。
介護分野に置き換えると、「働ける人はいるが、連続して長時間働ける人が減っている」という状況が広がっています。
その結果、フルタイム常勤が難しい職員が増え、従来型のシフトが組めなくなり、夜勤や早番・遅番を担う人が限られてしまいます。
体力や家庭の事情から短時間勤務を希望する人も増えています。
つまり介護現場は、「人はいるのに、時間がつながらない」状態に陥っているのです。

高齢化が生む「超細切れ労働」という外部環境
高齢者の就労が増えている背景には、生活不安だけでなく、「社会と関わり続けたい」「誰かの役に立ちたい」という心理があります。
ただし、体力的に長時間労働は難しく、毎日は無理でも週に数日、あるいは数時間なら働ける、という人が多いのが現実です。
これは、介護職を離れた元職員や、定年退職後の元会社員にも共通しています。
責任の重い仕事は難しいが、補助的な役割であれば担える。
この気持ちをどう活かすかが、今後の介護就労の分かれ道になります。
業務分解とは何か(介護分野での考え方)
業務分解とは、介護を「特定の人が丸ごと担う仕事」として捉えるのではなく、「作業の集合体」として捉え直すことです。
企業で言えば、営業・事務・物流を分けて効率化するのと同じ発想です。
介護の仕事も、身体に触れるかどうか、安全への影響が大きいか、専門資格が必要か、判断力や経験がどれほど求められるか、といった観点で分けて考えることができます。
そうして見ていくと、介護業務の中には、短時間・未経験でも担える作業が想像以上に多く存在します。
介護施設への人材派遣と業務分解の相性
人材派遣は、時間や業務を限定して人を配置できる仕組みです。
そのため、業務分解と非常に相性が良いと言えます。
介護業務を細かく整理し、対人度や身体的負荷、判断リスクといった観点で見直すと、全体の約7割程度は資格や経験がなくても対応可能な業務として切り出せます。
これにより、定年退職したシニアや、子育て中で長時間働けない人、介護業界に興味はあるが不安を感じている未経験者まで、活躍の場が広がります。
介護者・利用者・家族・地域それぞれの視点
介護者にとっては、業務を分けることで専門性の高いケアに集中でき、疲弊や離職のリスクを下げることにつながります。
利用者にとっては、接触を伴う重要なケアを顔なじみの職員が担い、補助的な業務のみを外部が支えることで、安心感を保てます。
家族にとっても、役割分担が明確になることで安全性や責任の所在が見えやすくなります。
地域全体で見れば、シニアの短時間就労が広がり、介護を「地域で支える仕事」として循環させる効果が期待できます。
まとめ
介護就労問題は、精神論や賃金改善だけで解決できる段階をすでに超えています。
必要なのは、業務を分け、時間を分け、人を分けて活かすという発想への転換です。
これからの介護現場で問われるのは、「フルタイムで働ける人を探す力」ではなく、「超細切れでも支えてくれる人を、どう組み合わせて活かすか」という設計力なのです。


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