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「安心できる避難所」へ
トイレ・ベッド備蓄、
災害関連死防ぐ
改正法成立
2025/05/28 13:00
日経速報ニュース

【この記事の内容】
『命を落とす…高齢者が避難所で感じた“絶望”とは?』
はじめに
避難所の生活環境には、温度変化、騒音、トイレの使いづらさ、プライバシーの欠如といった多くのストレス要因があります。
さらに、生活リズムの乱れや食事内容の変化も重なり、心身の負担は計り知れません。
介護の現場では、たとえ短期間の入院であっても、認知機能や身体能力の急激な低下が見られることがあります。
「入院をきっかけに寝たきりになった」という例は決して少なくありません。
こうした傾向は、災害時の避難生活でも同様であり、医療スタッフが常駐していない避難所では、そのリスクはさらに大きくなります。

長引く避難生活が高齢者に及ぼす影響
災害関連死とは、直接的なけがや事故ではなく、避難生活中に発生する体調悪化や精神的ダメージによって命を落とすケースを指します。
特に高齢者は、次のような要因で命を脅かされることがあります。
・ストレスによる持病の悪化(心疾患・脳卒中など)
・トイレの不備による脱水症状や感染症の発生
・ベッド不足による褥瘡(床ずれ)や筋力の低下
・孤独や不安からくる認知症の進行
2024年の能登半島地震では、こうした災害関連死が直接死を上回るという痛ましい現実が起きました。
法改正がもたらす避難所改革と介護現場への影響
最近改正された災害対策基本法では、避難所の環境改善に向けて具体的な施策が打ち出されています。
主なポイントは以下のとおりです。
・自治体に対し、備蓄状況の年1回公表を義務化
・段ボールベッドや簡易トイレの備蓄推進
・福祉サービスを災害救助の対象に追加
・災害時に迅速な支援ができるよう、ボランティア団体との連携強化
介護の現場でも、寝具の環境が高齢者の心身に与える影響は大きく、床での寝起きは褥瘡や夜間のトイレ介助の困難さを引き起こします。
改正法は、物資の量ではなく「生活の質(QOL)」に焦点を当てた、命を守る備えとして意義深い改革です。

介護者・家族・地域、それぞれの視点から見た課題と対応策
避難所環境を改善するには、多様な立場からの課題認識と対策が必要です。
高齢者の課題と対応
課題:寒暖差、騒音、不便なトイレ、孤独感
対応:暖かく衛生的な寝具、簡易トイレの設置、見守り体制の構築
介護者の課題と対応
課題:支援体制の未整備、介護負担の集中
対応:福祉職員の配置、外部支援との連携
家族の課題と対応
課題:情報不足、不安による精神的ストレス
対応:備蓄や支援状況の公開、連絡手段の確保
地域の課題と対応
課題:物資の偏り、住民の防災意識の低さ
対応:備蓄の見える化、防災教育の強化
介護現場で実際に起きた事例
ある高齢の利用者は、わずか数日の避難でも認知症の症状が急激に進みました。
段ボールベッドが足りず、床での生活を強いられた結果、トイレの失敗が続き、羞恥心から食事も摂れなくなり、体調が急速に悪化しました。
このように、避難所でのわずかな不備が、高齢者の命を危険にさらす「連鎖」を引き起こします。
備えの「見える化」と連携強化が命を守る
避難所の備えが「見える化」されていることは、介護者にとって非常に心強いです。
事前にどんな環境なのかが分かれば、避難の判断がしやすくなります。
自治体間の支援連携もスムーズになり、命を守るスピードも上がります。
国が進める「プッシュ型支援」によって、支援物資や福祉サービスが迅速に届く体制も整いつつあります。
これは、災害発生直後の混乱を少しでも軽減するための重要な仕組みです。

結論
高齢者の命を守るには、「物資の量」ではなく「生活の質」の備えを
高齢者の災害関連死を防ぐために重要なのは、量をそろえるだけの備蓄ではなく、環境の質をどう整えるかです。
段ボールベッドや簡易トイレといった、あたり前の生活を支える備えこそが、命を守る基盤になります。
介護者として私たちは、避難生活が「命を守るはずの場所」で「新たなリスク」が生まれることを知っています。
だからこそ、備えのあり方には、福祉の視点が欠かせません。
避難所は「安心できる場所」でなければなりません。
この記事が、皆さんが身近な避難所の備えを見直すきっかけになれば幸いです。
ぜひ一度、お住まいの自治体のホームページで備蓄状況を確認してみてください。
それが、自分や大切な人の命を守る第一歩です。



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