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ペットも高齢化、
のしかかる「老老介護」
老犬・老猫ホーム急増
2025/06/03 02:00
日経速報ニュース

【この記事の内容】
『ペットに年間30万円!? 老後を脅かす「医療費破産」の落とし穴』
はじめに
高齢者とペットが共に年を重ねるという現実
高齢者介護現場の中で、「二人三脚の終活設計」を考えることがあります。
これは、高齢者と介護スタッフが共に最期の時間をどう生きるかを考え、準備していくプロセスのことです。
この考え方は、ペットとの関係にも応用できます。
ペットと生きるというのは、癒しや楽しみだけでなく、共に老いを歩むという覚悟も伴う行為なのです。
高齢者がペットを飼ううえで見逃せないのが、ペットの長寿化に伴う「老老介護」という課題です。
本稿では、介護者、高齢者本人、家族、地域それぞれの視点から、現実的な備えと心構えについて掘り下げていきます。

高齢者もペットも長生きする時代に
背景と課題
近年、ペットフードの改良や獣医療の進歩により、犬や猫の平均寿命は大きく伸びています。
一方で、75歳を超える高齢者が単身でペットを飼うケースも増加しています。
寿命が延びたことで、ペットが高齢になると人間と同じように介護が必要になります。
たとえば寝たきりの老犬には、定期的な体位変換が必要になり、認知症のような症状を持つ老猫には24時間の見守りが求められることもあります。
高齢者視点
備えは「今」から始める資金面の備え
高齢のペットには、年に20万円以上の医療費がかかることも少なくありません。
さらに、老犬・老猫ホームを利用する場合、月額で数万円から十万円を超えるケースもあります。
人間の介護保険のような支援制度がないため、これらの費用はすべて自己負担となります。

心の備え
「もしも」に備える終活意識
高齢者自身に何かあったとき、ペットの行き先が決まっていないと、ペットは孤立してしまいます。
そこで「ペット信託」や「事前譲渡契約」といった制度が注目されています。
これらは、あらかじめペットの将来を他者に託す仕組みであり、高齢者にとって精神的な安心につながります。
介護者視点
支援がなければ共倒れのリスクも
高齢者が一人で高齢ペットを介護するのは、身体的にも精神的にも大きな負担です。
たとえば、体力の衰えによって重たいペットの世話ができなくなったり、通院の付き添いが困難になるケースもあります。
このようなときに頼りになるのが、老犬・老猫ホームのような専門施設です。
ここ10年で登録数が大幅に増加しており、短期から長期まで柔軟な預かりが可能になっています。
これは、高齢者の生活の質(QOL)を保つうえで重要な選択肢です。
家族・地域視点
支える仕組みづくりがカギ
家族の関わりが未来を左右するペットの飼育責任について、家族間での話し合いは不可欠です。
特に以下のような点について事前に合意しておく必要があります。
・飼い主に何かあった場合、誰が引き取るか
・ペットの医療方針や最期の看取り方についての希望
・緊急連絡先の共有地域社会による支援体制の構築
現在、多くの地域の高齢者支援制度ではペットの存在が考慮されていません。
しかし今後は、ペットを含めた福祉の枠組みが必要です。
たとえば、ペットを同伴した相談体制や一時預かりボランティアの導入、老犬ホームとの連携などが挙げられます。

「共に老いる」という新たな課題
介護福祉との重なり介護の現場では、施設入居によりペットを手放す高齢者の悲しみや、認知症による飼育放棄が社会問題となっています。
これは単に動物の問題ではなく、人間の福祉と密接につながる「共生福祉」として捉えるべきです。
まとめ
高齢者とペットがともに老いる社会に必要な準備とは
結論:高齢者がペットを飼うには、「長寿社会」の視点での計画が不可欠です。
具体的には、
・医療費や介護費用の備え
・緊急時や死後の受け皿の確保
・家族や地域との連携
・法制度の理解と活用
これらを通して、ペットと最期まで穏やかに暮らすことが可能になります。
ビジネスにたとえるなら、「リスクヘッジの効いた共生型マネジメント」です。
ペットを人生のパートナーとする以上、感情だけではなく、合理的な備えと責任ある行動が求められる時代になっているのです。



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