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筋肉量低下の高齢男性、
腸内細菌が偏る傾向
順天堂大学
2025/06/29 05:00
日経速報ニュース

【この記事の内容】
『歩けなくなる前兆!? 腸内細菌の減少で現れる異変とは?』
はじめに
筋力が衰えると歩くのも難しくなり、転倒や寝たきりのリスクが高まります。
そして、これが要介護状態へとつながるのです。
最近の研究では、腸内細菌のバランスと筋肉量には密接な関係があることがわかってきました。
一見無関係に思えるこの2つは、介護現場での食事、排泄、日常動作と深く結びついていると日々感じています。
今回は、順天堂大学の研究成果をもとに、高齢男性の筋力低下と腸内細菌の偏りの関係を解説し、介護者としてできる具体的な予防策を考えていきます。
結論
腸内環境を整えることが、筋力を守るカギになる
●理由
・筋力が落ちている高齢男性では、「酪酸」を作る腸内細菌が少ない傾向がある
・酪酸には腸の炎症を抑える働きがあり、体全体の代謝にも関わっている
・腸内環境が悪いと栄養の吸収効率が落ち、筋肉の再生
・維持に必要な栄養が届かなくなる
●介護現場でできる主な予防策
食事の改善
野菜や発酵食品(ごぼう、キャベツ、納豆、ぬか漬けなど)を積極的に取り入れる
日常的な運動
軽い筋トレや散歩を無理なく続けることが重要
サプリの活用
プロバイオティクス(善玉菌を補う栄養素)も必要に応じて利用する
生活リズムの安定
規則正しい排便と睡眠を整えることが、腸内細菌のバランスに直結する

高齢者が抱える心の壁と、現場のリアルな変化
●高齢者の心理的背景
・「もう歳だから仕方ない」と筋力低下を受け入れてしまう
・排便トラブルを「恥ずかしいこと」として誰にも言わず我慢してしまう
・食欲の低下や偏食により、自然と栄養不足が進行してしまう
●現場で実際に起きていること
・筋力の低下により日常生活動作(ADL)が困難になる
・ベッドから起き上がる、トイレに行くなど基本的な動作が一人でできなくなる
・誤嚥や感染症のリスクが高まり、健康状態が不安定になる
関係者別に見る課題とその対応策
●介護者の視点
課題:便通や筋力低下の変化に気づくのが遅れることがある
対応:毎日の食事・排泄・運動の記録をこまめにつけ、異変に早く気づく体制を整える
●高齢者本人の視点
課題:日常の楽しみが減り、生活意欲も下がってしまう
対応:料理イベントや散歩を取り入れ、「できること」があることを実感してもらう
●家族の視点
課題:腸と筋肉のつながりに対する知識が少ないため、正しい支援ができない
対応:地域の勉強会や介護者向けセミナーに参加し、情報を家族全体で共有する
●地域・制度の視点
課題:サルコペニアや腸内環境への支援が後手に回るケースが多い
対応:早期からの介入を目的とした「予防型の支援プログラム」の導入が求められる

現場で起きていること
「腸」と「筋肉」は切っても切れない
関係介護現場でも、便通が乱れた高齢者が歩行に困難を感じるケースが少なくありません。
発酵食品を使った食事を提供し始めたことで、排便が安定し、2か月ほどで筋力の低下が緩やかになるケースが見られました。
「腸は土壌、筋肉は作物」
腸内環境を「土壌」、筋肉を「作物」に例えると、いくら質の良い種(タンパク質)をまいても、土壌(腸内)がやせていれば作物(筋肉)は育ちません。
これはビジネスで言えば、社員教育(タンパク質)に投資しても、社内環境(腸内環境)が悪ければ成果が出ないのと同じです。
介護現場では、まず腸=土壌の改善が重要です。

まとめ:腸も筋肉も「育てる」ケアへ
●結論
介護者は、筋力だけでなく腸内環境の改善も意識しながら、高齢者の生活を支える必要があります。
●今後の具体的な対応
・排便状況のチェックと定期的な腸内環境評価
・地元食材を使ったバランスの良い食事メニューの工夫
・高齢者の「できること」を大切にする個別ケアの強化



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