まだ大丈夫…が一番危ない。“気づかないフレイル”が引き起こす損失とは?

介護

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大塚製薬、

ジョリーグッドとの共同事業の

VRトレーニングプログラム

「FACEDUO」で

「フレイル予防支援VR」を提供開始

2025/12/02 17:30

日経速報ニュース

大塚製薬、ジョリーグッドとの共同事業のVRトレーニングプログラム「FACEDUO」で「フレイル予防支援VR」を提供開始 - 日本経済新聞
【プレスリリース】発表日:2025年12月02日【医療関連事業】FACEDUO「フレイル予防支援VR」提供開始-フレイルへの早期発見を促し、健康維持と介護予防を支援-大塚製薬株式会社(本社 : 東京都、代表取締役社長 井上 眞、以下「大塚製...

【この記事の内容】

放置したら最悪です…“フレイルの初期サイン”を見逃した高齢者の末路とは?

はじめに

高齢者の心身の衰えは、最初は小さな変化から始まります。

ところが、その変化に気づかず放置すると、転倒や外出機会の減少、認知機能の低下へと連鎖的に広がり、気づいた頃には要介護度が一気に進んでいることがあります。

こうした「気づきの遅れ」を埋める新しい手法として、近年はVR(仮想現実)を使ったフレイル予防プログラムが注目されています。

本稿では、VRがなぜフレイル予防に向いているのかという背景を整理しつつ、介護者・高齢者・家族・地域の四つの視点から課題と対応策をわかりやすく考察します。

フレイルとは何か?

可逆性を持つ“揺らぎ期”をどう見抜くか

結論として、フレイルとは「加齢により体力や気力が弱まり、社会とのつながりも揺らぎ始めた状態」です。

この段階であれば改善の余地があり、早期発見が重要となります。

フレイルを構成する三つの側面

身体的フレイル:筋力低下、歩行速度の低下、体重の減少など

精神・心理的フレイル:気分の落ち込みや軽度の認知症傾向

社会的フレイル:交流の減少、役割の喪失による孤立感

これらは互いに影響し合い、「身体の弱り → 外出の減少 → 気力の低下 → 孤立 → 機能のさらなる低下」という悪循環を生みやすい状態です。

しかし、この“転がり始めた雪だるま”を早い段階で止めることができれば、十分に改善を目指せます。

VRが介護現場にもたらす“外圧的な気づき”

VRトレーニングの最大の特徴は、「高齢者本人が、自分の変化を体験として理解できること」です。

言葉だけでは伝わりづらいリスクや変化を、“身体感覚”として実感できる点が大きな強みです。

VRが提供する疑似体験の例

・つまずきや転倒リスクのある歩行場面

・社会的孤立が生む心理的負担

・食事量の低下が健康状態に及ぼす影響

特にフレイル初期の高齢者は「自分はまだ大丈夫」と感じやすく、自覚が乏しい傾向があります。

VRはこうした状態に外から刺激を与え、「もしかすると私も危ないかもしれない」と気づくきっかけを作り、行動変容を促せる点が効果的です。

VR×フレイル予防の意味を整理する

抽象化:高齢者に必要なのは“未来の自分を見る力”フレイル予防で最も難しいのは、「今の生活習慣が数年後の自分にどのような影響を与えるか」を具体的に想像することです。

VRは未来を“体で予習する”技術

VRは、未来のリスクを言葉や画像ではなく、体感として理解させる仕組みです。

これは「未来の自分を事前に経験する」ことに近く、予防行動の動機づけとして非常に有効です。

介護現場で起きている変化

・運動を拒否していた方が、VRを体験して自発的に運動参加へ切り替わる

・食事量が少ない方が、栄養不足の未来像を体験し食事意欲が改善

・社会参加が苦手な方が孤立のリスクを体験し、サロンに参加し始める

このように、VRは介護現場で「行動変容を引き出すスイッチ」として機能しつつあります。

高齢者がフレイルに気づきにくい心理

背景

高齢者がフレイル状態を見落としやすいのは、本人の感情や生活環境に理由があります。

高齢者の本音

・「まだ大丈夫」という自己保護の心理

・体力の衰えを認めることへの抵抗感

・周囲への迷惑を避けたいという遠慮

・ゆっくり進む変化のため自覚しづらい

その背景にある環境要因

・退職や家族構成の変化に伴う役割の減少

・ 人との交流の減少

・持病や服薬による体調の揺らぎ

・食事や睡眠リズムの乱れ

介護者は、この“気づけない心理”に配慮しながら寄り添う姿勢が求められます。

四つの視点で整理するフレイル予防の課題と対策

介護者視点

課題

・ 初期フレイルの見極めが難しい

・本人が自覚しないため行動が変わりにくい

・栄養・運動・社会参加のバランス指導が複雑

対応策

・VRを使い、リスクを自分事として捉えられる支援を行う

・定期的にフレイルチェックを実施し、小さな変化を早期に把握

・運動や交流を組み合わせた支援プログラムを作る

高齢者視点

課題

・「まだできる」という過信

・不調の原因が分からず不安

・同年代との比較で安心感を得てしまう

対応策

・VRでリスク体験し、必要性を理解する

・小さな成功体験を積み重ねる支援

・短時間・少人数など、社会参加のハードルを下げる

家族視点

課題

・離れて暮らすため変化を見逃しやすい

・本人が弱りを隠す

・サポート増加による負担感

対応策

・家族と介護者が情報共有し早期発見に努める

・VR体験会に家族も参加し、理解を深める

「できないこと」を補うのではなく「できること」を増やす支援に切り替える

地域視点

課題

・高齢者が集まる場が不足

・健康イベントが単発になりやすい

・孤立が深まりやすい社会構造

対応策

・地域包括支援センターなどでVR体験を導入

・栄養・運動・社会参加が連動した講座を設置

・サロンや体操教室で継続的な参加機会を作る

介護現場で起きている変化

・フレイルの早期可視化ツールの増加

・介護予防が「運動のみ」から「栄養+運動+交流」へ発展

・高齢者のデジタル活用が広がり、意欲が高まる例も増加

・生活支援サービスの需要増加

・施設での「生活リハビリ」重視の流れ

・健康寿命延伸を目的とした自治体施策の強化

・独居高齢者の増加による孤立の深刻化

このような変化の中で、VRは「予防の標準ツール」へと近づきつつあります。

まとめ

介護者が取り組むべきフレイル予防とは

結論として、介護者が果たすべき役割は、高齢者が変化に気づき行動できる仕組みを整えることです。

そのためには、

・未来を体験できるVRを活用して気づきを促す

・栄養・運動・社会参加を組み合わせた支援を行う

・本人・家族・地域を巻き込み“予防の輪”を広げる

といった取り組みが重要になります。

フレイル予防は、一部の専門家だけが取り組むものではありません。

高齢者本人、家族、地域、そのすべてが連携してこそ成果が生まれる社会的な取り組みです。

VRという新しい技術は、この連携を後押しする強力なツールとなります。

雪だるまが転がり始める前」に手を打てる未来を築くために、介護者として積極的に関わり続けていくことが求められます。

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