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介護2割負担拡大、
2つの激変緩和策を併用
厚労省が当初案修正
2025/12/12 21:30
日経速報ニュース
【この記事の内容】
『介護の現場が限界…2割負担拡大で起きる静かな崩壊とは?』
はじめに
介護分野では、「負担と支え合いのバランスを社会全体でどう保つか」という考え方が重視されています。
これは、特定の人だけに負担が偏らないようにしながら、介護保険制度そのものを長く維持していくための発想です。
今回議論されている介護サービス利用料の2割負担対象拡大は、この考え方を現実の制度に落とし込もうとする動きだと、介護者として私は受け止めています。
結論を先に述べると、2割負担の対象拡大は避けられない流れである一方、現場や生活者の実感を丁寧にくみ取らなければ、制度そのものへの不信感を高めてしまう危険性があります。
ここが最大の論点です。
介護サービス2割負担拡大とは何か
【結論】
介護サービス利用料の2割負担対象拡大とは、これまで1割で利用できていた人の一部が、今後は2割を自己負担することになる制度改正です。
これは介護保険制度を維持するための現実的な選択肢である一方、介護者、高齢者、家族、地域それぞれに新たな課題を投げかける内容でもあります。
現在の介護保険では、自己負担は原則1割ですが、一定以上の所得がある人は2割、さらに高い所得層は3割を負担しています。
今回の見直しでは、この「2割を負担する人」の範囲を広げることが検討されています。
なぜ2割負担の対象拡大が議論されているのか
【理由】
制度の背景にある「静かな危機」
介護の現場で働いていると、制度が抱える課題を日常的に実感します。
要介護認定を受ける高齢者は増え続ける一方で、保険料を支える現役世代は減少しています。
さらに、介護人材は慢性的に不足し、介護保険料は上昇傾向にあります。
これをビジネスの視点で例えるなら、「売上は増え続けているのに、コスト構造が変わらず、資金繰りが苦しくなっている会社」のような状態です。
介護保険制度も同じで、サービス利用という“需要”だけが増え、支える仕組みが追いついていません。
このままでは制度が立ち行かなくなるため、選択肢としては「給付を抑える」か「利用者の負担を増やす」か、あるいはその両方を組み合わせるしかありません。
2割負担拡大は、このうち「負担を広く分かち合う」方向の施策だと言えます。

激変緩和策が示す「配慮」の正体
【具体例】
今回の議論の特徴は、負担が急激に増えすぎないよう、複数の緩和策を組み合わせる点にあります。
介護者としては、一定の配慮が示されていると感じる一方で、現場への影響を慎重に見極める必要もあると考えています。
想定されている緩和策の一つは、月々の自己負担増加額に上限を設けることです。
仮に2割負担になったとしても、増える金額は月に数千円程度に抑える、という考え方です。
もう一つは、預貯金が少ない高齢者については、引き続き1割負担とする配慮です。
これらを踏まえると、新たに2割負担となる高齢者は数十万人規模と見込まれています。
一方で、介護給付費や保険料、公費負担は、年間で数百億円規模の抑制効果があるとされています。
高齢者の心境を介護現場から考える
介護を受ける高齢者の多くは、
「長年保険料を払ってきたのに」
「老後は安心できると思っていた」
「これ以上、子どもに迷惑をかけたくない」
といった思いを抱えています。
数字だけを見ると、月に数千円の負担増に過ぎないように見えますが、高齢者にとっては生活の安心感そのものが揺らぐ出来事です。
ここを軽視すると、制度への不信につながりかねません。
視点別に見る課題と対応策
介護者の視点では、利用者が費用を理由にサービスを控えてしまうことが最大の懸念です。
その結果、状態が悪化し、かえって介護負担が増えるケースも考えられます。
必要なサービスは削らず、その意義を丁寧に説明し、ケアプランの質を高めることが重要になります。
ケアプランとは、どの介護サービスを、どの頻度で利用するかを定めた介護の設計図のようなものです。
高齢者の視点では、将来への不安が強まり、お金の話題そのものを避けてしまう傾向があります。
そのため、実際にどれくらいの負担になるのかを具体的に示し、利用できる減免制度や高額介護サービス費制度を分かりやすく伝える必要があります。
家族の視点では、介護費用が家計を圧迫する不安や、仕事と介護を両立できるのかという悩みが深まります。
家族も含めた話し合いの場を設け、地域の相談窓口や家族会などの資源につなげることが重要です。
地域の視点では、採算が合わず介護サービス事業者が撤退するリスクや、地域ごとのサービス格差が課題になります。
小規模事業所への支援や、住民同士の支え合い活動を強化する取り組みが求められます。
介護福祉領域で起きている変化
私自身が介護福祉の現場で感じている変化として、利用者が「最低限のサービスだけで済ませたい」と考える傾向が強まっていることがあります。
また、家族が直接介護に関わる割合が増え、ケアマネジャーには、これまで以上に分かりやすい説明が求められています。
さらに、住宅型有料老人ホームでは相談業務が増え、これまで無料だった支援が有料化される動きも見られます。
これらはすべて、負担増が人々の行動を変えている表れです。
外圧的・抽象的に見る2割負担拡大の意味
この制度改正をより大きな視点で見ると、国には制度の持続可能性を確保する狙いがあり、社会全体には自助と共助のあり方を見直す動きが求められています。
そして個人には、老後の暮らし方や備えを改めて考え直すことが迫られています。
これは介護だけでなく、医療や年金、地域福祉にも共通する流れです。
まとめ
介護者としての結論
介護サービス利用料の2割負担拡大は、制度を維持するためには現実的な選択である一方、現場への影響は決して小さくありません。
数字だけを見るのではなく、実際の生活や心情に目を向ける視点が欠かせないと考えます。
介護者として求められるのは、制度をただ嘆くことではなく、変化の中で最適解を探し続ける姿勢です。
高齢者が「支えられている」と感じ、家族が孤立しない介護を実現するために、この2割負担拡大を現場の知恵でどう乗り越えるかが、今まさに問われています。



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