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「腰痛」の背後に
重篤な病気の可能性
我慢せず、まずは医師に相談を
2025/10/09 05:00
日経速報ニュース

【この記事の内容】
『知らなきゃ危険…腰痛を訴えない高齢者に潜む病気とは?』
はじめに
〜高齢者の「ただの腰痛」が命に関わることも〜
介護分野では「未病(みびょう)」という考え方がある介護の現場では、「未病」という考え方が重視されています。
これは、「まだ病気と診断されていないけれど、健康とも言えない状態」を意味します。
つまり、体が出している小さなサインを早期にキャッチし、悪化を防ぐことが介護の基本です。
腰痛もその一つ。
一見ただの筋肉疲労や加齢によるものに見える腰痛でも、実は体が発している重大なSOSであることがあります。
介護職はまるで探偵のように、小さな異変からその背後にあるリスクを読み取らなければなりません。

結論:腰痛は「老化」だけが原因ではない
見逃せない危険信号(レッドフラッグ)
腰痛を「年のせい」と思って放置するのは非常に危険です。
特に以下のような症状がある場合は、深刻な病気の可能性を疑う必要があります。
腰痛に潜む主なリスク疾患
〇高熱を伴う腰痛
→ 化膿性脊椎炎(背骨に細菌が感染して炎症を起こす病気)
〇がんの既往歴がある人の腰痛
→ がんの脊椎転移(骨にがんが転移して背骨が破壊される)
〇胸や背中の痛みを伴う腰痛
→ 大動脈瘤・大動脈解離(血管が破裂する恐れのある命に関わる病気)
これらは“レッドフラッグ”と呼ばれ、速やかに専門医の診断が必要です。
腰痛の種類と違いを知ろう腰痛はすべて同じではありません。
症状の経過や原因によって、大きく3つに分類されます。
急性腰痛(発症から4週間未満):いわゆる“ぎっくり腰”。
突然の強い痛み。
亜急性腰痛(4週間〜3ヶ月未満):慢性化の前段階。
軽快と再発を繰り返す。
慢性腰痛(3ヶ月以上):原因が分かりづらく、長期間痛みが続く。
特に慢性腰痛は「非特異的腰痛(原因が明確でない腰痛)」として軽視されがちですが、近年は90%以上の腰痛が原因特定可能とされており、適切な検査と診断が大切です。
介護者と家族の視点
高齢者は「痛みを隠す」ことがある
高齢者は、腰痛を我慢する傾向があります。
理由としては以下のような心理的・身体的な背景があります。
・「年のせいだから仕方ない」と思い込んでいる
・「家族に心配かけたくない」という遠慮
・認知症や記憶障害で痛みをうまく伝えられない
このような事情から、痛みの存在が見過ごされやすくなっています。
介護者や家族は、「いつもと違う仕草や表情」から違和感を読み取ることが重要です。
地域視点
腰痛の見逃しを防ぐ地域包括ケアの役割
地域包括ケアシステムでは、高齢者の健康異変を早期に発見し、適切な医療につなげることが求められています。
しかし現場では以下のような課題があります。
・腰痛専門医が少なく、診断が不十分になることがある
・高齢者本人が「病院に行きたくない」と言って受診を避ける
・痛みの表現があいまいで、周囲が異変に気づけない
こうした課題には、民生委員やケアマネージャーの訪問時の観察力や声かけがカギを握ります。
介護の現場で見えてくる腰痛の“連鎖反応”
腰痛は、ただの痛みで終わりません。
・腰の痛みで動けなくなる
・排泄・入浴などの日常動作が困難になる
・活動量が低下し、認知症が進行
・ストレスから精神的に不安定になる
まるでドミノ倒しのように、一つの腰痛が生活全体に影響するのです。
介護計画も軌道修正を迫られる事態になります。
介護者ができる4つの対応策
1. 「変化」に敏感になる
・表情が曇っている
・背中を丸めて歩くようになった
・動作が遅く、ぎこちない
こうした変化を見逃さないことが重要です。
2. 積極的な声かけを
・「腰、最近どう?無理してない?」
・「ちょっと診てもらったら安心できるかもね」
負担にならない雰囲気で受診をすすめましょう。
3. 専門医の情報を家族と共有
・日本整形外科学会の認定専門医を案内
・通院が難しい場合は訪問診療の検討も
4. セカンドオピニオンも視野に
・「どこに行っても分からない…」という場合は他院の専門医紹介を
・手術が必要かどうかの判断も専門医であれば可能です
腰痛との“長い付き合い”に終止符を打つために
「腰痛とはもう10年以上の付き合いでね…」
そう話していたある高齢女性が、ある日突然歩けなくなり、病院で脊柱管狭窄症と診断されました。
手術後、「もっと早く受診していれば…」と語ったその言葉が印象的でした。
まとめ:腰痛は「体からの声」
その声に耳を傾けるのが介護者の使命
腰痛は、ただの加齢現象ではなく、体が発する「警告」の一つです。
私たち介護者が、そのサインに気づき、行動に移すことが、高齢者の命と生活を守る一歩となります。
毎日の観察、気づき、声かけ、そして医療との橋渡し。
そのすべてが、高齢者にとっての“安心”の土台になるのです。



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