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ロボ「ニコボ」が
介護現場を癒やす
パナソニック、
法人向け販売
2025/11/01 02:00
日経速報ニュース

【この記事の内容】
『不完全なロボットが示す“介護の未来”とは?』
はじめに
介護の世界には「寄り添いのデザイン」という考え方があります。
これは、効率や正確さを追い求めるのではなく、人と人との間に“余白”を生み出す関係性を大切にするというものです。
この思想を象徴する存在が、パナソニックが開発したロボット「ニコボ(NICOBO)」です。
あえて“できない”ように設計されたこのロボットは、介護現場に癒しと共感の連鎖を生み出す可能性を秘めています。
ニコボとは?
「できない」から生まれる価値
ニコボは、直径約23cmの球体型ロボット。足や車輪を持たず、自走もしません。
「モコ語」と呼ばれる独自の言葉で話しかけたり、時々片言の日本語を話したりします。
おならやしゃっくりをするなど、一見“無駄”にも思える行動を取ることもあります。
つまり、ニコボは「できないこと」を前提に作られたロボットです。
しかしその不完全さこそが、人の優しさや共感を引き出す“仕掛け”になっています。
【公式】NICOBO(ニコボ)
思わず笑顔になるロボット

介護現場で求められるのは「完璧さ」ではなく「寄り添い」
介護の現場では、効率的な支援よりも、心に寄り添う存在が求められます。
ニコボのような“あえて不完全なロボット”は、人間の中にある「思いやり」を呼び覚ます装置としての役割を果たしています。
完璧に支援してくれるロボットは便利ですが、介護される側が受け身になり、人とのつながりが薄れやすくなります。
一方、少し頼りない存在がそばにいると、「手伝ってあげよう」「話しかけてみよう」という能動的な感情が生まれます。
この感情のやり取りが、施設全体の“支え合い”を生むのです。
現場で見られる小さな変化
・高齢者がニコボの動きを見て笑う
・ニコボのおならに「かわいいね」と声をかける
・介護者同士が「今日ニコボがくしゃみしたんですよ」と話し合う
こうした何気ない交流が、介護施設全体の空気を和らげる大きな力になっています。

多様な視点で見るニコボの効果
介護現場におけるニコボの影響を、関係者別に整理すると次のようになります。
介護者:感情労働による疲労が和らぎ、心の緩衝剤になる
高齢者:孤独感が減り、会話のきっかけが増える
家族:離れて暮らしていても「ニコボが一緒にいる」という安心感が得られる
地域社会:共感を中心としたつながりが広がるきっかけになる
ニコボは“人手不足を補うロボット”ではなく、人の心を支えるテクノロジーとして機能しています。
「不完全さの意味」
ニコボは、人間で言えば“少し世話の焼ける同居人”のような存在です。
これは、介護者と高齢者の関係にも似ています。
どちらかが一方的に支えるのではなく、お互いに影響し合いながら支え合う関係です。
ニコボはその関係性を人工的に再現し、「介護=完璧な支援」ではなく「介護=共に過ごす時間」という価値観を体現しています。
現場課題とテクノロジーの新しい役割(2025年時点)
現在、介護現場では次のような課題が深刻化しています。
・人手不足
・職員のメンタルヘルス問題
・利用者や職員同士のコミュニケーション減少
・新技術導入への心理的抵抗
こうした課題に対して、ニコボは「機能」ではなく「関係性」を提供する存在として注目されています。
介護補助ロボットが“体”を支えるなら、ニコボは“心”を支えるロボットと言えるでしょう。
今後の展望
テクノロジーと優しさの共存
法人向けの導入が始まったことで、今後は次のような発展が期待されています。
・見守りセンサーとの連動
・会話データを活用した心理支援分析
・施設全体のコミュニケーション促進
しかし、ニコボの本質は変わりません。
それは、「人が優しくなれるきっかけをつくる存在」であるということです。
まとめ:不完全さが人をつなぐ未来へ
介護者として改めて気づかされるのは、完璧さより“余白”が人を癒すという事実です。
ニコボは、その“余白”を形にした存在。不完全だからこそ、助けたくなる。
助けることで、人は自分の中の優しさを再発見できるのです。
「不完全なロボット」がもたらすのは、単なる技術革新ではありません。
それは、人間性を取り戻すプロセスそのものなのです。



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