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街から消えた路線バス
運転士不足2万人、
参院選で交通網維持も議論
2025/07/19 02:00
日経速報ニュース

【この記事の内容】
『病院にも行けない…移動手段を失った高齢者が直面する問題とは?』
はじめに
介護の現場では、「QOL(生活の質)」という概念が重要です。
これは単に命をつなぐことではなく、高齢者が自分らしく安心して暮らせる環境を提供するという考え方です。
このQOLの概念は、今全国で進行する路線バスの減便や廃止問題とも深く関係しています。
なぜなら、移動手段の喪失は、高齢者にとって日常生活の継続を脅かす「生活基盤の崩壊」とも言えるからです。
高齢者にとって「足の喪失」は生活の断絶を意味する
バスがなくなる不安と現実高齢者にとってバスは、日々の生活に欠かせない「足」です。
買い物、通院、友人との交流、デイサービスの利用
これらはすべて移動手段があってこそ成り立ちます。
加齢により歩行能力や体力が落ちていく中で、炎天下や極寒の中を長距離歩くことは、命の危険すら伴います。
バスが減便
・廃止されることで起こる影響は以下の通りです。
・食料の買い出しが困難になり、食生活が偏る
・通院が滞り、持病や予防医療の管理が難しくなる
・人と会う機会が減り、孤独感やうつのリスクが高まる
介護者に重くのしかかる移動支援の負担
介護者にとっても、公共交通機関の機能低下は深刻な課題です。
送迎のために仕事を休まざるを得なかったり、車の運転が増えることで事故のリスクも高まります。
「移動」という行為が、高齢者本人だけでなく、支える側にも重い負担を強いているのです。

バスと介護に共通する「人手不足」という構造的課題
路線バス業界が抱える運転士不足(約2万人)には、低賃金・高齢化・若者離れといった構造的な問題があります。
これはまさに、介護業界が直面している課題と同じです。
具体的には
・業界平均年収が全体より低く、若者の就職が進まない
・従事者の高齢化が進み、定年が近い層が大半を占める
・離職率が高く、人材確保が困難
バス業界と介護業界は、一見異なる分野のように見えて、労働力構造の問題では同じ病巣を抱えています。
バス廃止は「介護の持続性」も脅かす
家族にのしかかる「移動インフラ崩壊」の影響
多くの家族にとって、バスの廃止は日常の介護体制を揺るがす一大事です。
・共働きの家族では、送迎のために勤務調整が必要
・離れて暮らす家族は通院や買い物のたびに帰省を強いられる
・介護タクシーの予約も難しく、代替手段が限られている
これらは、家族の生活や経済に大きな影響を与え、最終的に「介護共倒れ」につながりかねません。
地域社会の崩壊と介護サービスへの波及
地方では、バス廃止が高齢者の移動制限を招き、外出が減ることで体力・認知機能の低下が進みます。
それがさらに介護ニーズを高めるという負のスパイラルが起きています。
加えて、交通網の崩壊が原因で、介護職員の通勤も困難になり、施設運営にも支障が出るという事例も見られます。

介護の発想から導き出す「移動支援」の再設計
介護分野では、「本人中心の支援」「地域との連携」「包括的な見守り体制」という考え方が基本です。
これを交通支援に置き換えると、以下のような発想が可能です。
現場で既に始まっている動き
・高齢者施設が自主的に送迎バスを導入し、地域住民にも開放
・ボランティアによる買い物同行や送迎支援の仕組みづくり
・ケアマネージャーが「移動手段」まで考慮した支援計画を策定
制度・仕組みへの問いかけ
・公共交通の維持に公費を使うべきか?
・民間企業に任せきりでよいのか?
・利用者が費用を一部負担する形も検討すべきか?
移動の問題は個人の自己責任ではなく、社会全体で取り組むべき「生活基盤整備」の課題であることが明らかです。
私たちにできる対策とは
以下は現実的な課題に対して、介護者や地域が今すぐ取り組める対応の例です。
・運転士不足には、賃金改善や定年延長、女性
・シニアの活用を進める
・移動手段の確保には、コミュニティバスやライドシェア、自動運転の活用を検討
・高齢者の不安軽減には、地域で交通問題を共有し、福祉分野と連携
・介護者の負担軽減には、移動支援や介護保険外サービスの助成制度を拡充する

まとめ
交通と介護、切り離せないこれからの社会へ
路線バスの減便・廃止は、単なる「交通の話」ではありません。
これは、介護が成り立つための土台が揺らいでいるという現実の象徴です。
高齢者が地域で安心して暮らすには、移動手段が不可欠です。
そしてそれを支える交通インフラの維持は、介護の未来を守る行動でもあります。
私たちは今、「交通と福祉を切り離さずに捉える視点」を持たなければなりません。
それこそが、高齢者も介護者もともに安心して暮らせる社会への第一歩です。



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