【43%が不満】介護・育児制度が“逆効果”になる理由とは?

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育児・介護「多様な働き方」

10月から拡充 同僚に負担、

公平感どう確保

2025/10/08 22:12

日経速報ニュース

育児・介護「多様な働き方」10月から拡充 同僚に負担、公平感どう確保 - 日本経済新聞
改正育児・介護休業法が10月に完全施行される。テレワークや残業免除など多様な働き方の拡充を職場に求める。少子高齢化が深刻な日本で子育てや介護をしながら働ける環境の整備は欠かせない。一方で柔軟な働き方をする社員が増えれば同僚の負担増にもつなが...

【この記事の内容】

制度が壊す職場…育児・介護でギクシャクする会社の特徴とは?

はじめに

育児・介護と仕事の両立──その裏側で起きている“温度差”の正体とは

2025年10月、改正育児・介護休業法がすべての企業に対して完全に施行されました。

これにより、テレワークや短時間勤務といった「柔軟な働き方」がますます広がり、子育てや介護をしながら働く人々への支援が加速しています。

しかしその一方で、「制度を利用する人」と「その人をフォローする人」の間に、不公平感や感情的なズレが生まれているのも事実です。

介護の現場でも似たような構図があります。

誰かがシフトを抜ければ、誰かがその穴を埋める。

このような「しわ寄せ構造」が当たり前となりつつある今、制度の価値をきちんと共有できなければ、職場内の関係性がギクシャクしてしまう可能性もあります。

本記事では、介護に携わる人間の視点から、こうした不公平感がどこから生まれるのかを深掘りし、両立支援制度を円滑に機能させるためのヒントを考えていきます。

「チームケア」という介護の知恵に学ぶ、職場内フォローの考え方

介護の現場には、「チームケア」という基本的な考え方があります。

これは、介護士、看護師、ケアマネジャー、リハビリ職などが一つのチームとなって、それぞれの専門性を活かしながら支援を分担する仕組みです。

この考え方を企業の働き方にも応用すれば、「誰かの働き方の変化が、チーム全体のバランスをどう変えるか」が見えやすくなります。

たとえば、短時間勤務の社員が抜ける時間帯の業務を、他のメンバーが自然にカバーできるように 「仕事の見える化」を進めておけば、負担の偏りを防ぎやすくなります。まさに、「役割分担と補完関係」が鍵となるのです。

なぜ不公平感は生まれてしまうのか?

結論から言えば、それは「情報の見えにくさ」と「感情のすれ違い」が原因です。

制度を利用する人は家庭の事情を抱えており、仕事をうまく回すのに必死です。

一方、フォローする側は業務量が増えるにも関わらず、見返りや評価が明確でないため、不満を抱きやすくなっています。

実際、パーソル総合研究所の調査では、制度利用者をフォローしている社員の約43%が不満を持っているとの結果が出ています。

さらに、残業時間も平均で月5.6時間多いというデータもあり、「支え合い」が片方向になっている現実が浮き彫りになっています。

介護者・高齢者・家族・地域──それぞれの視点にある課題とは?

介護者視点:職場と家庭の板挟み

・急な介護対応で、勤務を抜けなければならない

・職場内で「理解されていない」と感じ孤立する

・労働時間が減ることで、評価が下がる不安がある

対応策:

・テレワークや短時間勤務の柔軟運用

・制度の啓発や体験制度(例:「かえるリレー」)による理解促進

・チーム単位での評価制度の導入

高齢者視点:「迷惑をかけたくない」という無言のプレッシャー

高齢者は、「自分のせいで家族に負担がかかっている」と感じやすく、制度利用を躊躇させる心理的要因になります。

これは、昭和的な「我慢は美徳」「家族に迷惑をかけてはいけない」という価値観が根底にあると考えられます。

対応策:

・高齢者自身にも制度や社会の変化について丁寧に説明し、「支援を受けることは悪ではない」と安心してもらうことが必要です。

家族視点:実際に両立する人のリアルな苦悩

・精神的・身体的に大きな負担を抱えている

・職場に理解がないと制度を使うこと自体が難しい

対応策:

・介護保険サービスや地域包括支援センターなど外部支援の活用

・職場との情報共有や相談環境の整備

地域視点:支援の分散とつながりの再構築

・地域の資源が不足しており、家族介護に過度に依存

・介護者が孤立しやすい環境

対応策:

・地域包括ケアシステムの活用・拡大

・企業と自治体の連携(介護セミナーなど)

・副業・短時間就労制度などで地域内の支援を広げる

介護業界で何が起きているのか?(2025年時点)

・深刻な人材不足により、業務の「見える化」と役割の再構築が進行中

・生成AIやICTの導入で業務効率化を推進

・多職種連携研修の義務化により、現場の相互理解が進む

・企業内ケアラー支援制度の導入が広がっている

・厚労省が推進する「仕事と介護の両立支援制度」の普及が進展中

こうした流れは、企業における多様な働き方支援にも強く影響を与えています。

「仕組み」と「文化」が両立支援の両輪になる

結論

誰もが納得して制度を活用できる環境をつくるには、「制度(仕組み)」だけでなく、「人の心(文化)」を育てることが必要です。

構造的アプローチ(仕組み)

・フォローする社員に、目に見える形で報酬や評価を付与する

・チーム単位での成果評価を取り入れる

・「ノーワーク・ノーペイ」の原則を徹底し、透明性を確保する

情緒的アプローチ(文化)

・全社員による制度の体験導入で、利用者への共感を深める

・「ありがとう」を言葉にできる職場風土をつくる

・制度利用者が成果や気づきを発信できる場をつくる

まとめ

制度を活かすには「仕組み」と「共感」の両立が不可欠

制度が整っても、それを使う現場が疲弊していては意味がありません。

育児や介護と仕事の両立は、今や珍しいことではありません。

しかし、その柔軟な働き方を支えるためには、周囲の理解とチーム全体での支え合いが必要です。

制度は人の善意だけでは機能しない」。

だからこそ、介護現場で育まれた「支え合いの設計思想」は、企業にも応用できる知恵です。

社会全体がチームとして支え合う意識を持つこと。

これこそが、これからの働き方に求められる大きな価値ではないでしょうか。

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