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介護業界、
賃上げ「来春に5%超」に
倍増目指す
首相の支援表明受け
2025/11/07 05:00
日経速報ニュース

【この記事の内容】
『介護職員の離職率“40%”の裏にある真実とは?』
はじめに
介護業界は単なる「福祉サービスの提供」ではなく、人の尊厳を守り、地域社会を支える大切な産業です。
しかし、給与水準の低さや労働環境の厳しさが原因で、人手不足が年々深刻化しています。
この現状は、まるで建物の土台が少しずつ沈んでいくようなものです。
社会保障制度という上層階を支える基盤である
介護現場が弱まれば、社会全体の安定が揺らいでしまいます。
したがって、「介護職の賃上げ」や「他業種との給与格差の是正」は、個人の問題ではなく社会の持続可能性に関わる課題だといえます。
結論
給与格差を防ぐことが、介護人材の定着と社会の安定につながる
介護職と他業種の給与差を広げないためには、次の3つの取り組みが欠かせません。
1. 政府による報酬制度の見直しと補助金の前倒し支給
2. 介護現場の生産性向上とコスト共有化の推進
3. 社会全体で介護職の価値を再認識する
意識改革なぜこれが重要なのか。
それは介護現場が「人手不足=サービス提供の制限」という構造に直面しているからです。
給与が他業種より低い状態が続けば、若い世代の参入は減り、ベテラン職員の離職も進みます。
結果的に、介護の質が下がり、地域の高齢者が安心して暮らせなくなるのです。
介護現場で起きている主な課題
介護業界では以下のような深刻な課題が発生しています。
・有効求人倍率は4倍を超え、慢性的な人手不足
・介護事業の倒産が過去最多(2024年時点で172件)
・光熱費や食材費などコスト上昇による経営圧迫
・若年層の離職率が高く、3年以内に約4割が退職
・都市部を中心に「介護難民」が増加
・訪問介護や通所介護の担い手不足
・家族介護者の負担が増し、共倒れリスクが高まる
これらは単に給与の問題ではなく、介護を支える社会構造のゆがみの表れでもあります。
介護業界の「外圧」と「内圧」
他業種に目を向けると、例えばIT業界では外部要因によってDX(デジタルトランスフォーメーション)が急速に進みました。
テクノロジーを導入し、業務を効率化することで生産性を高めています。
この流れを介護に当てはめると、
・介護DX(デジタル化)による記録
・見守り業務の効率化
・AI活用による身体的負担の軽減(移乗支援や排泄予測など)
といった「外圧による変革」が期待されます。
一方で、現場自身が行う「内圧的変革」としては、
・職員のキャリア形成支援による定着率の向上
・複数事業所が連携し、物資を共同購買する仕組みの拡大など、現場発の自助努力が求められています。

各立場から見た課題と対応策
高齢者、家族、介護者、地域それぞれの立場で課題を整理すると、次のようになります。
高齢者にとっては、介護職員の不足により希望するサービスが受けられない問題があります。こ
れには、安定した介護人材の確保が不可欠です。
家族は、仕事と介護の両立が難しくなり、精神的・経済的負担が増大しています。
そのため、在宅介護を支える仕組みやレスパイト(介護者の休息)制度の充実が求められます。
介護者自身は、やりがいを感じながらも、給与の低さとのギャップに苦しんでいます。
賃上げやキャリア支援、メンタルケアが現場の継続力を高めます。
地域社会では、事業所の閉鎖による「介護空白地帯」が生じつつあり、行政・企業・住民が連携して支援体制を再構築する必要があります。
今後の展望
給与格差を埋める5〜10年計画の必要性
業界団体は、「まず給与差の拡大を止め、10年をかけて他業種との格差を縮める」という長期方針を掲げています。
これは短期的な補助金にとどまらず、継続的な処遇改善と制度改革を進めることが前提です。
今後の注目点としては、
・報酬改定サイクルの柔軟化
・公的介護保険制度と民間サービスの連携強化
・若者や外国人材の参入支援と教育整備
といった政策的支援がカギを握ります。
まとめ
介護職の賃上げは「福祉」ではなく「社会インフラ投資」
介護職の賃上げは、単なる職員への福利厚生ではなく、社会全体を支える基盤への投資です。
給与格差を是正することで、
・人材流出を防ぎ、安定したサービスを提供できる
・高齢者や家族の不安を軽減できる
・地域経済の循環を促進できる
このような「好循環」を生み出すことができます。
介護業界が持続可能な未来を築くためには、現場と社会の両輪で支え合う意識が求められています。



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