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空き家増でも増える「住宅弱者」
人口の3割との推計も
2025/06/26 17:36
日経速報ニュース

【この記事の内容】
『孤独死リスクとともに拒絶される高齢者…貸してもらえない理由とは?』
はじめに
介護現場の中で、「ベッドは空いているのに入所できない」と考えることがあります。
認知症が進んだ方や医療的ケアが必要な方は、受け入れるための準備や人手、リスクへの配慮が必要なため、すぐに受け入れができないのです。
実は、こうした問題は介護施設に限らず、住宅の世界でも起きています。
たとえば、全国で空き家が増えているにもかかわらず、高齢者やシングルマザー、外国人など「住宅弱者」と呼ばれる人々は、家を借りたくても貸してもらえないという現状があります。
つまり、「住める家はあるのに、住みたい人が住めない」というミスマッチが起きているのです。

なぜ高齢者は賃貸住宅に住みにくいのか?
高齢者が家を借りにくい背景には、次のような理由があります。
・孤独死や認知症によるトラブルが心配される
・家賃をきちんと払えるか不安を持たれてしまう
・ゴミ出しや騒音などの生活マナーが守れるか疑問視される
・入居後に支援が必要になり、大家が負担を感じる
たとえば、認知症の方がゴミ出しの曜日を忘れたり、夜間に大きな音を立てたりすれば、近隣トラブルにつながる可能性があります。
そのため、大家の中には「最初から断っておこう」と考える人もいるのです。
介護の現場と住宅の問題は似ている
介護職も、ときに「対応が難しい方」を受け入れられないことがあります。
それは本人を拒絶しているのではなく、支援体制や制度の限界によるものです。
住宅でも同じように、仕組みや支援が整っていないために、高齢者が排除されてしまうという「構造的な拒否」が起きています。
高齢者を早くから受け入れる体制をつくるには?
介護者としてできること高齢者が安心して暮らせる家を確保するには、事前の備えが大切です。
以下のような取り組みが役立ちます。
・判断力があるうちに成年後見人(財産管理などをサポートする人)を選んでおく
・センサーや定期的な電話連絡など、安否確認の仕組みを導入する
・家族や保証会社に保証人をお願いしておく
・住宅探しのときに、介護職や居住支援法人が一緒に対応する
こうした準備を「転ばぬ先の杖」として整えておくことで、孤立や生活の破綻を防ぐことができます。

高齢者本人が感じる不安と希望
多くの高齢者は、「できる限り自宅で自立した生活を続けたい」と考えています。
しかし現実には、次のような不安や葛藤を抱えています。
・「今は一人で暮らせるけれど、この先どうなるか不安」
・「子どもに迷惑をかけたくない」
・「自分の居場所がなくなるのが怖い」
このような思いを抱えながらも、選択肢が限られていることが「見えない住宅難民」という状態を生んでいます。
家族としてできる備えとは?
介護現場では、「退院後に戻る家がない」「施設を退所したけど次の住まいが決まらない」といった家族からの相談が増えています。
こうした事態を避けるには、家族が早めに住まいについて調べておき、複数の選択肢を準備することが重要です。
地域として支える仕組みが必要
昔の日本には、地域の中で自然と高齢者を見守る「共助」の文化がありました。
現代でも、これを再構築することが求められています。
たとえば、
・近所の人による見守りボランティア
・高齢者向けのシェアハウスや共同住宅
・地域包括支援センターと不動産業者の連携
といった取り組みが、孤独死の防止やトラブルの予防に役立ちます。
これから必要な住宅対策とは?
2025年には、住宅セーフティネット法が改正され、高齢者や住宅弱者が住みやすい賃貸住宅を増やす施策が進みます。
これからの住宅政策や介護支援には、次のような視点が求められます。
・高齢者のリスクに備える仕組み(保証制度や見守りサービス)を整備する
・居住支援法人の役割を強化し、財政的にも支援する
・情報の格差を減らすための相談窓口やサイトの充実
・家族に向けた住宅準備の啓発や研修の実施

結論
高齢者を早く受け入れる準備を、今から始めよう
高齢者が安心して暮らせる社会をつくるには、早めに受け入れ体制を整えることがカギです。
そのためには、
・介護者と不動産業者の連携
・居住支援法人の支援強化
・住宅政策と介護政策の橋渡し役の育成
といった仕組みづくりが必要です。
介護福祉の現場も、ただの「入所支援」ではなく、地域で暮らす高齢者の「生活そのもの」を支える役割が求められています。
これからの時代、「誰もが住む場所に困らない社会」を目指して、制度や仕組みを一歩ずつ整えていくことが大切です。



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