「介護=節約」の大誤解!7割の家族が陥る金銭的ワナとは?

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在宅介護と税家族の負担と

「他人に任せた場合の対価」

2025/10/20 05:00

日経速報

在宅介護と税 家族の負担と「他人に任せた場合の対価」 - 日本経済新聞
50代にもなると親の介護はより現実的な問題になってくる。要介護度が高くても本人や家族の希望や事情で施設に入居しない場合、在宅介護について考える必要がある。介護用品やリフォームといった「初期費用」はもちろん、介護保険サービスの自己負担分など定...

【この記事の内容】

介護は「無料」じゃない!在宅介護で実はかかる月5万円の出費とは?

はじめに

介護の世界には、「見えないコストをどう可視化するか」という重要な視点があります。

在宅介護においては、介護ベッドの購入や住宅のリフォームといった分かりやすい出費だけではなく、家族の時間や感情、労力など、目には見えない負担も日々積み重なっています。

たとえば、介護職に依頼すれば費用が発生するサービスを、家族が無償で担っているケースは少なくありません。

つまり、本来なら報酬が発生するはずの“有償労働”を、家族が自分たちの時間と引き換えに提供しているのです。

これは、電気代を節約するためにエアコンを我慢した結果、体調を崩して病院代がかかってしまう――というような、短期的には節約に見えても長期的には大きな損失になる「逆転現象」と似ています。

在宅介護を選ぶ高齢者の背景

高齢者が施設ではなく自宅での介護を望む背景には、次のような理由があります。

・長年住み慣れた自宅で過ごしたいという想い

・環境の変化による認知機能低下への不安

・家族と一緒にいたいという精神的な安心感

このような心情から、要介護状態でも施設に入らず、可能な限り自宅で過ごすことを選ぶ家庭が増えています。

在宅介護のスタートで直面する初期費用

初期費用の具体例と現実

在宅介護を始めるには、以下のような支出が避けられません。

介護ベッド:レンタルは介護保険が適用され自己負担1〜3割。

購入の場合は全額自己負担で10〜30万円。

バリアフリー改修:段差解消や手すり設置などに20〜100万円程度。

住宅改修の事前手続き・設計:数万円〜。

これらの費用は、介護保険だけではまかなえず、自己負担が発生します。

税制優遇を活用して費用負担を軽減するバリアフリー改修では、一定条件を満たせば最大60万円までの税額控除が受けられます。

ただし、控除対象となるのは以下のような条件に当てはまる場合です。

・改修対象が本人の持ち家であること(親名義の家を子が工事した場合は対象外)

・年収が2,000万円以下であること

・改修する本人が50歳以上、要介護・要支援認定を受けている、または障害者であること

事前の確認と計画が、無駄な出費を防ぐカギとなります。

継続的に発生する在宅介護の出費

在宅介護は一度始めると、毎月の出費が続きます。

公益財団法人の調査では、平均月額5.3万円という結果が出ています。

主な支出項目

・訪問看護やリハビリといった介護サービス

・医療費(通院・薬代)

・介護用品(紙おむつ、衛生用品など)

・デイサービスの自己負担分

・通院や送迎にかかる交通費

このうち、訪問入浴介護や夜間対応型の訪問介護などは医療費控除の対象になる可能性があります。

一方で、炊事や洗濯などの生活援助は控除対象外です。

サービスの選び方によって、税制の恩恵が大きく変わってくるため、知識と戦略が必要です。

4つの視点から見る在宅介護の課題と対応策

高齢者視点

家族に迷惑をかけたくない」という葛藤

・実際には介護が必要だが、頼みにくい

・施設には入りたくないという強い意志

対応策:ケアマネジャーとの相談を重ね、介護サービスの選定と福祉用具の導入で、自立を支援することが重要です。

介護者視点

仕事と介護の板挟み

・介護のために退職せざるを得ないケース

・ストレスやうつのリスクが高い

対応策:介護休業制度や在宅勤務制度を活用し、家族だけで抱え込まない工夫が求められます。

家族視点

相続をめぐる不公平感

・「自分だけが介護した」という不満

・相続で寄与分が認められない場合の摩擦

対応策:介護の記録(介護日誌、支出記録)を残し、相続時に「見える証拠」として提示することが重要です。

地域視点

家庭介護の孤立化

・地域によっては介護支援が行き届かない

・高齢者世帯の孤立化が深刻化

対応策:地域包括支援センターや地域ボランティアとつながりを持ち、孤立を防ぐことが必要です。

「他人に任せた場合の対価」を意識することの意味

介護は「感情的な家族の務め」ではなく、「本来は報酬が発生する労働」としても評価されるべきです。

寄与分・特別寄与料という制度

寄与分:法定相続人が介護などで貢献した場合、相続分を上乗せできる

特別寄与料:相続人以外(たとえば義理の子)が貢献した場合に、相続人に請求可能。

ただし、税制上は「遺贈」として相続税が2割増しになることもあります。

寄与分が認められるための条件

・特別な貢献であること(単なる家族の助け合いでは不十分)

・介護によって遺産の維持や増加に貢献したという因果関係が必要

このように、家族内の介護を経済的な価値として可視化することが、今後ますます重要になってきます。

まとめ:在宅介護は「制度活用」と「見えないコストの理解」がカギ

在宅介護には、次のような3つの大きな負担がのしかかります。

1. 初期費用(ベッドやリフォーム)

2. 継続費用(介護用品やサービス利用料)

3. 精神的負担(介護疲れ、不公平感)

しかし、以下のような工夫で、その負担を軽減することができます。

・税制優遇や控除制度を正しく使いこなす

・他人に任せた場合の対価を意識して、記録を残す

・介護サービスの内容を見極め、効率よく組み合わせる

・家族間で定期的に話し合い、貢献度を共有する

介護という「見えない価値」をどう社会が支え、家族が共有し合うか。

この視点を持つことが、これからの高齢社会を生きる私たちに求められる知恵です。

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