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2025/10/16 20:29
日経速報ニュース

【この記事の内容】
『家族が知らない“読書を失った高齢者”の孤独…介護者が気づいたサインとは?』
はじめに
介護分野では“環境を整えること”という考え方がある
介護の現場では、本人の力を引き出すために「環境を整える」という考え方があります。
これは、読書のバリアフリーにも応用できる視点です。
高齢者が再び“本を楽しむ”ためには、読む力そのものを補うよりも、「楽しめる環境」を整えることが大切なのです。
① 介護現場にそのまま転用する
結論
介護現場でも、「読書を諦めなくていい」環境づくりが重要です。
理由
高齢者は加齢による視力低下や手の震え、集中力の持続困難などから、紙の本を読むことが難しくなります。
具体例
たとえば、95歳の入所者が「もう本は読めない」と口にしたとき、オーディオブックを紹介すれば、「聴く読書」という新しい方法で再び本の世界に触れることができます。
この体験が「まだ楽しめる」という自信につながります。
② 介護福祉の現場での具体的な応用
結論
デイサービスや介護付き有料老人ホームで、「耳で聴く読書時間」を設けることは有効です。
理由
紙の本では姿勢の維持や集中が必要ですが、音声なら寝ながらでも、移動中でも楽しめます。
具体例
・週に一度、デイサービスで朗読会を開く。
・数台のイヤホンを用意して、利用者が好きな作品を自由に聴ける時間を作る。
・視力低下がある入居者には、文字拡大機能付き電子書籍とオーディオブックを併用する。
このように、「読む」だけにこだわらない柔軟な環境こそが、読書バリアフリーの実践です。
③ 外的要因・構造的な視点で考える
結論
読書バリアフリーは、個別支援と社会的支援の両輪で進めるべきです。
理由
高齢化とデジタル化が進む中、紙の本だけに頼る読書スタイルでは、読書機会の格差が広がってしまいます。
具体例
・自治体が公共図書館や福祉施設にオーディオブック導入を促進する。
・介護保険や地域包括ケアの中に「読書支援」を位置づける。
・出版社が高齢者向けの朗読作品を制作する。
つまり、読書バリアフリーは「個人の努力」ではなく、「社会全体で支える文化」として整備されるべきなのです。
介護者・高齢者・家族・地域の4つの視点から考える課題と対応
読書バリアフリーを進めるには、関わる立場ごとの課題を明確にすることが大切です。
介護者の視点
高齢者が「読めない」と諦める時、介護者は“聴く読書”という選択肢を提示する役割を担います。
簡単な機器を用意し、安静時間や移動時間を「聴く時間」に変える工夫が求められます。
高齢者の視点
視力や集中力の低下によって読書を諦める人が増えています。
しかし、オーディオブックを通じて「まだ読める」という感覚を取り戻すことができます。
音量や速度を調整できる機器を活用し、無理なく続けられる環境を整えることが重要です。
家族の視点
家族もまた、「本を読む時間」を一緒に過ごすことができます。
たとえば、家族で同じ作品を聴いて感想を話す“聴書タイム”を設けることで、世代を超えた交流が生まれます。
地域の視点
地域社会も読書機会を支える基盤となります。
図書館や公民館にオーディオブック体験スペースを設けたり、地域サークルで「聴く読書会」を開いたりすることで、高齢者が社会とつながり続ける場を提供できます。

介護福祉の現場で起こっている変化
介護福祉領域ではすでに、次のような変化が起きています。
・読み聞かせから“聴き聞かせ”への転換が進んでいる。
・タブレットやスマートフォンを使って、朗読コンテンツを楽しむ時間が設けられている。
・視覚障がいや老眼のある高齢者向けに、音声メディアが活用され始めている。
・読書を「認知症予防」「情緒の安定」「生活の楽しみ」として位置づける施設が増えている。
これらはすべて、「読書=紙」という固定観念を超えた、新しい読書支援の形です。
結論
介護者が担う“読書バリアフリー”の未来
介護者にとって大切なのは、「もう読めない」ではなく、「どうすれば楽しめるか」を考える姿勢です。
オーディオブックを活用すれば、
・読書を再び日常に取り戻すことができ、
・認知機能の維持や感情の安定にも寄与し、
・家族・地域との交流のきっかけにもなります。
「読書をあきらめなくてもいい」という環境を整えることは、単なる娯楽支援ではなく、“生きる意欲”を支えるケアの一部です。
介護の現場から、静かに広がるこの新しい文化が、高齢社会における心の豊かさを取り戻す鍵になるでしょう。



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