もう旅行なんてムリ…高齢者が諦める壁

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静岡県、高齢者も旅行しやすく 

伊東市で移動支援の実験

2025/06/24 18:30

日経速報ニュース

静岡県、高齢者も旅行しやすく 伊東市で移動支援の実験 - 日本経済新聞
静岡県は高齢者や障害者も観光しやすい「ユニバーサルツーリズム」の推進に向け、同県伊東市で市内移動の支援やバリアフリー化に向けた実証事業を進めると発表した。車椅子が通れる地図を作ったり、受け入れ側の課題を聞き取ったりして観光需要を伸ばす。同市...

【この記事の内容】

旅行中に倒れたら…家族の負担が限界に?高齢者旅行の“見えない重圧”とは

はじめに

介護現場の中で、「車椅子は移動の道具であるだけでなく、社会とのつながりを取り戻す鍵」と考えることがあります。

移動が制限されることは、単に場所を変えられないだけでなく、人との関係や楽しみを奪う要因にもなります。

この考えを観光に置き換えると、旅行は“非日常の楽しみ”ではなく、“日常生活の延長線上にある社会参加の形”として捉えることができます。

だからこそ、高齢者も旅行を楽しめる仕組みを整える「ユニバーサルツーリズム」の推進は、介護の延長線上にある大切な取り組みだと考えます。

ユニバーサルツーリズムとは?

その背景と今後の意義

ユニバーサルツーリズム」とは、年齢や障害の有無に関係なく、誰もが不安なく旅行を楽しめる仕組みづくりのことです。

観光庁や地方自治体が積極的に推進しており、少子高齢化社会における観光の新しいかたちとして注目されています。

背景には以下の課題と期待があります

・高齢者人口の急増(2025年には団塊の世代が75歳以上に到達)

・外出による認知症や身体機能低下の予防ニーズ

・潜在的な観光市場規模は1兆円以上とも言われる

なぜ伊東市が注目されているのか?

温泉地ならではの取り組み

伊東市は、首都圏からのアクセスが良く、高齢者にも人気の温泉地です。

現在、以下のような実証実験が進められています。

・車椅子利用者にも分かりやすい地図の整備

・バリアフリー化を目指す施設に最大500万円の補助金

・交通・宿泊・介助サービスを一括手配する仕組みの導入

・実際の高齢者によるモニターツアーを実施し、実用性を検証

これにより、高齢者やその家族が「旅行に行っても大丈夫だ」と思える心理的な後押しにもつながっています。

介護の視点から考える「旅行の壁」とその解消策

高齢者が旅行をためらう理由の多くは、物理的な障壁だけでなく、「もし何かあったらどうしよう」という不安にあります。

介護の現場でも、通所リハビリの際に「送迎がなければ利用できない」という声が多くあります。

これは「旅行に行きたくても、移動手段やサポートがなく断念する」状況とよく似ています。

主な課題としては

・バリアフリーな移動手段の不足

・旅行中の介助体制の不備

・旅行先の情報不足

・同行する家族への心理的

・身体的負担

このような障壁を取り除くには、現場の介護ノウハウを活かした「旅の設計」が必要です。

高齢者の「心の壁」をどう乗り越えるか

高齢者の中には、自分が旅行することで「周囲に迷惑をかけるのでは」と不安を抱く方が多くいます。

また、体調面の心配や、「もう歳だから無理」と諦めてしまうケースも少なくありません。

これを乗り越えるには

・旅行先に受け入れ体制があることを明確に伝える情報提供

・介助者が同行する旅行プランの用意

・医療機関との連携による緊急時対応の整備

介護者として大切なのは、「身体的なケア」だけでなく、「旅行に対する心のハードル」も一緒に下げることです。

家族も安心できる旅行支援体制とは高齢者が旅行する際、家族も大きな責任を感じがちです。

実際には以下のような負担が生じやすくなります

・常に介護者としての役割を求められる

・薬や緊急対応の準備が必要

・旅行そのものを純粋に楽しめない

しかし、介助付き旅行や専門スタッフの同行、ワンストップでの手配システムがあれば、家族も旅行の“同行者”として、心から旅行を楽しめるようになります。

地域全体で取り組む観光のバリアフリー化

地域側も、次のような課題を抱えています

・老朽化した施設がバリアフリーに対応しきれていない

・高齢者旅行者を受け入れるノウハウの不足

・観光人材の慢性的な人手不足

これらに対して、伊東市では

・観光業者と福祉関係者が連携した研修の実施

・ボランティアによる受け入れサポートの強化

・バリアフリー対応施設の「見える化」による選択支援が進められています。

これらは、地域全体で「おもてなし力」を底上げする取り組みと言えます。

介護業界の最新動向から観光業へのヒントを探る

介護の現場では今、以下のような動きが進んでいます

・デイサービスなどによる外出機会の積極的創出

・医療や介護スタッフが同行する旅行サービスの普及

・ICT(情報通信技術)を活用した外出時の見守りシステムの導入

これらのノウハウや仕組みは、そのまま観光業へと応用できます。

特に「安全に外出する仕組み」は、旅行の安心感を大きく左右します。

まとめ

旅は高齢者のQOLを支える

“日常の一部”へ高齢者にとって、旅行はただの非日常的な楽しみではなく、「自分らしさを取り戻す時間」です。

外出し、観光し、地域の人々と交流することで、

・社会とのつながり

・自信と自己肯定感

・家族や介護者との前向きな関係を再構築することができます。

伊東市のような先進的な取り組みは、日本各地における新しい観光の形の“モデル”となり得ます。

介護業界にいる私たちもまた、高齢者が「旅に出たい」と思ったときに、背中を押せる存在でありたいと考えています。

旅行は、誰かの夢を叶えるだけでなく、その人らしい人生を支える大切な営みです。

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