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薬剤師の専門性
「仕組み」で引き出す
「店の鍵みたいなもの」を超えて
2025/07/06 02:00
日経速報ニュース

【この記事の内容】
『薬剤師に相談しないと“危ない”理由!あなたの介護に潜む落とし穴とは?』
はじめに
介護の現場では、本人が薬の内容を理解していなかったり、介護者が薬の変更に気づけなかったりすることがよくあります。
こうした時、頼りになるのが「服用後の変化」に注目する薬剤師の専門性です。
ただし、その力を十分に活かすには、薬剤師だけでなく、介護者や家族が薬剤師とどう関わるか、そしてどんな仕組みで支えるかを意識する必要があります。
薬剤師の役割は「薬の知識」だけではない
結論
薬剤師の力を引き出すためには、介護者が「関わり方」を意識することが重要です。
薬剤師は「薬を渡す人」ではなく、「薬の効果とリスクを見守る人」として、医師や介護職とは異なる専門性を持っています。
なぜそれが重要なのか?
・高齢者は複数の病気を抱えていることが多く、薬の数も多くなりがち。
そのため、副作用や薬同士の相互作用のリスクが高まります。
・本人が体調の変化を伝えづらかったり、何が原因の不調なのかを医師や介護者が特定できない場合があります。
・薬剤師は、薬が体の中でどう働くか(代謝・効果・排出)を理解している、唯一の専門家です。
具体例
食事が取れない状態が続いた高齢者が、血圧の薬の影響でふらつきを訴えました。
医師は生活状況の詳細を把握していなかったものの、定期訪問していた薬剤師が「栄養不足と薬の強さのバランスの崩れ」に気づき、服薬内容を調整。
これにより転倒リスクを防げたのです。薬剤師の「服用後を見守る力」は、まさに命を守る専門性といえます。

多様な視点から考える「薬剤師との関係性」
高齢者の視点
「不調」をうまく伝えられない。
課題:薬の副作用を「年齢のせい」と思い込み、訴えない
対応:薬剤師が定期的に訪問し、「最近どうですか?」と変化を丁寧に聞き出す。
介護者が服薬記録をつけて、薬剤師と共有する工夫も大切です。
介護者の視点
薬の変更を追えない
課題:病院が変わるたびに薬も変わり、混乱しやすい
対応:お薬手帳で情報を一元化し、薬剤師が継続的に服薬管理できるようにする。
在宅訪問で薬剤師のアドバイスを得る体制を積極的に整える。
家族の視点
薬の説明が難解で理解しにくい
課題:副作用や薬の仕組みが難しくて理解できない
対応:薬剤師が専門用語を避け、かみ砕いた説明をする。
家族が疑問を介護者経由で薬剤師に相談できるようにする。
地域の視点
薬剤師が「見えにくい存在」になっている
課題:薬剤師=調剤室にいる人、というイメージが根強い
対応:地域包括ケア会議への薬剤師の参加を促し、住民が薬の相談をしやすい「窓口」を整える。

介護の場面ごとに活かせる薬剤師の関わり方
外来診療後
・薬剤師が副作用や服薬状況を評価。
・介護者は診察後に薬剤師へ気になる症状を伝える。
在宅介護
・薬剤師が日常生活の変化と薬の関係を把握。
・介護者は食事や排泄、体調の変化を記録して共有。
市販薬(OTC)の利用
・薬剤師が自己判断によるリスクを評価。
・高齢者の市販薬購入を防ぎ、事前に相談させる。
「薬剤師を活かす仕組み」をどう作るか?
薬剤師の専門性を最大限に発揮させるには、「期待」だけではなく、関わりを仕組み化することが必要です。
具体的な仕組みの例
・ICTで調剤業務を自動化し、薬剤師の対人業務の時間を確保する
・薬局に「案内専任のスタッフ」を置き、薬剤師が相談業務に集中できる体制を整える
・ケアマネジャー、看護師、薬剤師の定期的な連携ミーティング(FAF連携)を行う

まとめ:「共創」の意識が専門性を活かす
薬剤師は単なる「薬の専門家」ではなく、高齢者の生活全体を支える医療チームの一員です。
介護者や家族ができることは以下の3つです。
・情報を薬剤師に伝える
・助言を積極的に受け入れる
・薬の「前」だけでなく「後」にも関わる体制をつくる
かつて薬剤師は「店の鍵」のような存在でしたが、これからは「薬の炎をコントロールする安全装置」としての新たな関係を築いていくべきです。
それが、より安心で健やかな高齢者の暮らしを支えるカギとなるのです。



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