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中高年から聴力低下
「7つのサイン」に注意
不安があればすぐ受診を
2025/07/17 05:00
日経速報ニュース

【この記事の内容】
『“聞き返し”が増えたら危険信号!高齢者に多い7つの聴力異変とは?』
はじめに
介護の現場では、「早期発見・早期対応」が利用者の生活の質(QOL)を大きく左右します。
この考え方は、身体機能や認知機能の低下だけでなく、「聴こえの変化」にも当てはまります。
聴力の衰えは、本人自身が気づきにくく、周囲も「年のせい」と思い込んでしまうことが多いため、見逃されがちです。
しかし、それは明らかに介護者や家族が注視すべき「変化のサイン」です。
高齢者の聴力低下が及ぼす3つの深刻な影響
①認知機能の低下を早めるリスク
聴力の低下は、脳への音の入力を減少させ、結果として脳の活動量を下げてしまいます。
これが記憶力や思考力の衰えを早め、認知症のリスクを高める要因となります。
②社会的孤立のきっかけになる
会話がうまく聞き取れないことで、人との交流を避けるようになります。
特にデイサービスや地域活動などの「社会参加」が減ると、孤独や抑うつに陥るリスクが増加します。
③介護の現場でのコミュニケーション障害
介護においては、声かけや説明が欠かせません。
聴こえにくいと指示が伝わらず、介助がうまくいかない場面が増えます。
結果として、介護者も利用者も強いストレスを抱えることになります。

これが見逃せない「聴力低下の7つのサイン」
以下のサインが3つ以上当てはまる場合は、耳鼻咽喉科の受診をおすすめします。
①聞き返しが増える
「何?」と聞き返すことが多くなる
②聞き間違いが多い
「ビール」が「シール」に聞こえるなど、言葉の聞き違いが増える
③聞き漏らしが増える
会話の内容についていけず、返答が遅れる
④テレビの音が大きい
家族に「音がうるさい」と言われるようになる
⑤耳鳴りが続いている
高音の「キーン」という音が慢性的に聞こえる
⑥複数人の会話が聞き取りにくい
会話が重なると、話の内容が分からない
⑦電話の声が聞き取りづらい
相手の声がこもって聞こえる
特に「聞き返し」「聞き間違い」「聞き漏らし」は、聴力低下の3大サインです。
高齢者が自ら聴力低下に気づきにくい理由とは?
理由1
少しずつ進行するため違和感を感じにくい
加齢性難聴は、高音から徐々に聞こえにくくなっていくため、会話ができているうちは変化に気づきにくいのです。
理由2
「まだ大丈夫」と思いたい心理
補聴器に対して「老け込んで見られたくない」という心理的な抵抗感が強く、受診や補聴器の導入が遅れることがあります。

介護者や家族ができる4つの対応策
①会話の反応を観察する
返事のタイミングや内容を日常的に注意深く見る
②定期的な聴力検査を勧める
1年に1回を目安にチェックを勧奨する
③補聴器への心理的ハードルを下げる
「生活が楽になった」など、成功事例を伝える
④専門家と連携する
補聴器相談医や認定技能者がいる施設に相談する
介護現場での「耳の問題」
具体的な課題
以下のような聴力に関する課題が、介護施設内ではよく見られます。
・利用者が指示を聞き取れず、転倒や誤薬のリスクが高まる
・体操やレクリエーションに参加できず、活動が制限される
・家族との会話が成立せず、孤独感が増す
・補聴器の使用やメンテナンスが自力でできない
・補聴器を着けていないことに職員が気づかない
こうした課題に対して、介護者の「気づき」と「関わり」が状況を改善する大きな力になります。
補聴器は「早く使い始める」ほど生活が楽になる
補聴器に早く慣れることで、脳がスムーズに順応する補聴器は「聴こえないから仕方なく使う」のではなく、「聴こえにくくなったタイミングで使い始める」のがベストです。
脳が補聴器の音に慣れやすく、ストレスが少ないためです。
「タンス補聴器」にならないための予防策
重度の難聴になってから装着すると、「音がうるさくて耐えられない」と感じて使わなくなる人が多くいます。
これを防ぐには、軽度の段階で使い始めることが重要です。

地域と制度で支える「耳の健康寿命」
地域包括支援センターを活用する
介護者や家族だけで抱え込まず、地域包括支援センターや自治体の高齢者支援窓口を積極的に利用しましょう。
補聴器の購入補助制度などの情報も得られます。
「聴こえ8030運動」を地域に広げる
「聴こえ8030運動」は、80歳で30デシベル(ささやき声程度)の聴力を保とうという活動です。
地域イベントや介護施設での聴力チェックにも応用できる考え方です。
まとめ:聴力の変化への“気づき”が認知症予防の第一歩
高齢者の聴力低下は、単なる老化ではなく、認知症や社会的孤立の始まりであることもあります。
介護者はその小さな兆候にいち早く気づき、適切な受診や支援につなげていくことが求められます。
「耳を守ることは、脳を守ること」。これは介護の現場で常識となりつつある考え方です。
私たちが個人として、そして地域全体として「耳の健康寿命」に向き合うことが、これからの超高齢社会に必要とされる姿勢です。



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