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ロコモの前兆
「長く歩けない」に注意
痛みがあれば受診
2025/06/05 05:00
日経速報ニュース

【この記事の内容】
『階段がつらい…そのサインを見逃すと90日後に歩けなくなる理由』
はじめに
足腰の衰えは「見えない坂道」のようなものです。
最初はわずかな傾斜ですが、気づかぬうちに急勾配になり、下りきった先には「寝たきり」や「要介護」の状態が待っているかもしれません。
「ロコモティブシンドローム(以下ロコモ)」とは、高齢者が「立つ」「歩く」などの基本動作に支障をきたす状態で、進行すると介護が必要になるリスクが高まります。
坂道を転がり落ちる前に、早期発見と適切な対応が何よりも重要です。

ロコモの4つの前兆に注意
ロコモは突然始まるわけではありません。
以下の4つの動作が「しづらい」と感じたら、それはロコモの前兆です。
階段の上り下りがつらい:エレベーターを多用するようになった
急ぎ足で歩けない:バスや電車に間に合わず、息切れすることが増えた
休まず歩けない:買い物中に座りたくなる、脚がだるくなる
スポーツや踊りが億劫:ゲートボールやダンスをやめた、あるいは痛みで避けている
こうした変化に気づいたときは、自己流で運動を始めるのではなく、まず整形外科を受診してください。
痛みの原因が病気にある可能性もあるからです。
「長く歩けない」は単なる加齢ではなく、病気の可能性も
腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)
症状:歩行中に脚が痛くなり、前かがみになると楽になる
原因:神経の通り道である「脊柱管」が狭まり、神経が圧迫される
対処:MRIなどの検査で診断、薬・注射・リハビリ、進行時は手術も視野に
閉塞性動脈硬化症(へいそくせいどうみゃくこうかしょう)
症状:歩行中に脚が痛むが、前かがみになっても改善しない
原因:脚の血管が狭くなり、酸素や栄養が届きにくくなる
対処:糖尿病や高血圧の管理、血管拡張の薬、カテーテル治療など
・痛みを感じたときは「がんばって動こう」と無理をせず、専門医に相談してください。
運動が逆効果になることがあります。

多角的な視点で見るロコモ対策
介護者の視点
「できる力」を引き出すサポートを
・高齢者自身は「できなくなっている」ことに気づきにくい
・無理に運動させるより、まずは医療機関での診断が第一歩
・リハビリ職と連携して、本人に合った運動を提案することが大切
高齢者の視点
「年齢のせい」と諦める前に行動を
・小さな違和感や不便が「ロコモの始まり」です
・体の変化に敏感になり、必要なときに周囲に相談する習慣を
家族の視点
日常の変化に目を向けよう
・外出の頻度が減った、階段を避けるようになったなどの小さな兆候を見逃さない
・一緒に受診し、行動を後押しすることで、早期対応に繋がる
地域の視点
誰もが動ける環境づくり
・シニア体操や趣味の教室など、外出のきっかけがある地域ではロコモ進行が抑えられやすい
・イベントや教室は「集まりやすさ」「続けやすさ」が鍵となる

介護現場でみた課題と現実
介護の現場では、以下のようなケースが少なくありません。
・「動けなくなってから」相談される
予防のタイミングを逃し、介護度が高くなってから支援が始まる
・自己流の運動で悪化
痛みを我慢して運動し、かえって症状が進行する
・「助けを求めない高齢者」
人に頼らないという美徳が、早期対応の障壁になっている
・家族の「過信・過保護」
本人の力を信じきれず、必要以上に手を出してしまう
転倒や寝たきりを防ぐには「予防」と「早期対応」
ロコモは、初期段階であれば十分に回復の見込みがある状態です。
以下の習慣が予防に役立ちます。
・自宅でできる運動(片脚立ち、軽いスクワットなど)を週に数回取り入れる
・痛みがある場合はすぐに医療機関へ。自己判断は禁物
・毎日10分でもいいので外に出て歩く
習慣をつくることが、筋力と自信の維持に繋がります。

まとめ:「歩けなくなる前」に行動しよう
「年齢だから仕方がない」と思っていた足腰の衰えが、実は病気やロコモのサインであることもあります。
早めに気づき、正しく対処することで、将来の介護リスクを大きく減らせます。
介護者、家族、地域が一体となって「動ける体」を守ることが、本人の自立と、介護の質の向上に繋がるのです。



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